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リスクアセスメントとは|5ステップで進める実践ガイド

リスクアセスメントの基本から5ステップの進め方、具体例まで解説。厚生労働省指針に基づく実践方法と、よくある失敗への対策を紹介。

著者: GenbaCompass

「リスクアセスメントって、難しそう…」

そう思っている人は多い。確かに、法律用語が並んでいて、最初は取っつきにくい。

でも、やっていることはシンプルだ。「危険を見つけて、対策を決める」。これだけだ。

この記事では、リスクアセスメントの基本から、現場ですぐに使える5ステップの進め方まで解説する。


リスクアセスメントとは何か

リスクアセスメントとは、職場の危険を事前に特定し、リスクの大きさを評価して、対策の優先順位を決める手法だ。

従来の安全管理との違い

従来の安全管理は、事故が起きてから対策を打つという「後追い」の考え方だった。

リスクアセスメントは違う。事故が起きる前に、危険を潰しておくという「先回り」の考え方だ。

項目 従来の安全管理 リスクアセスメント
タイミング 事故後 事故前
アプローチ 再発防止 予防
範囲 発生した事故 すべての危険

なぜ今、リスクアセスメントが必要なのか

労働安全衛生法の改正により、2016年(平成28年)から一定の化学物質を取り扱う事業場ではリスクアセスメントが義務化された。

また、厚生労働省は業種を問わず、すべての事業場にリスクアセスメントの実施を推奨している。

背景:

  • 労働災害の減少ペースが鈍化している
  • 技術の高度化で新たな危険が生まれている
  • ベテラン退職による安全ノウハウの喪失

リスクアセスメントの5ステップ

厚生労働省の指針に基づく、リスクアセスメントの標準的な進め方を紹介する。

ステップ1:危険性・有害性の特定

まず、職場にどんな危険があるかを洗い出す。

特定の方法:

  • 作業手順書をもとに、各作業の危険を列挙
  • 過去のヒヤリハット報告や事故事例を参照
  • 現場をウォークスルーして、危険箇所を確認

特定すべき危険の例:

  • 機械への巻き込まれ
  • 高所からの墜落・転落
  • 重量物の落下
  • 有害物質への接触
  • 転倒・つまずき

この段階では、思いつく限りの危険を出し切ることが重要だ。

ステップ2:リスクの見積もり

特定した危険について、リスクの大きさを評価する。

リスクの見積もり方法:

リスク = 重篤度 × 発生可能性

重篤度 点数 内容
致命的 3点 死亡・永久障害
重大 2点 休業災害
軽微 1点 軽傷・応急処置
発生可能性 点数 内容
高い 3点 頻繁に発生する可能性
中程度 2点 時々発生する可能性
低い 1点 まれに発生する可能性

点数を掛け算して、リスクの大きさを数値化する。

ステップ3:リスク低減措置の検討

リスクの大きさに応じて、対策を検討する。

対策の優先順位(効果が高い順):

  1. 本質的対策:危険な作業や物質をなくす
  2. 工学的対策:安全装置や防護設備を設置
  3. 管理的対策:作業手順やルールを整備
  4. 保護具の使用:最後の手段として保護具を着用

例えば、高所作業の場合:

  • 本質的対策:高所作業をなくす(地上で作業できないか検討)
  • 工学的対策:足場や手すりを設置
  • 管理的対策:作業手順書の整備、教育の実施
  • 保護具:安全帯(フルハーネス)の着用

ステップ4:リスク低減措置の実施

検討した対策を実行に移す。

実施時のポイント:

  • 責任者と期限を明確にする
  • 必要な予算を確保する
  • 関係者に周知徹底する

対策の実施状況を記録しておくことも重要だ。

ステップ5:記録と見直し

実施した内容を記録し、定期的に見直す。

記録すべき内容:

  • 特定した危険性・有害性
  • リスクの見積もり結果
  • 実施した対策
  • 残留リスク(対策後も残るリスク)

見直しのタイミング:

  • 定期的(年1回など)
  • 作業内容や設備が変わったとき
  • 事故やヒヤリハットが発生したとき

リスクアセスメントの具体例

実際の例で見てみよう。

例:フォークリフト作業

ステップ1:危険性の特定

  • フォークリフトと作業者の接触
  • 荷崩れによる落下
  • 積載物の視界不良による事故

ステップ2:リスクの見積もり

危険:フォークリフトと作業者の接触

  • 重篤度:3(致命的)
  • 発生可能性:2(中程度)
  • リスク:3 × 2 = 6(高リスク)

ステップ3:対策の検討

  • 本質的対策:自動搬送システムの導入(将来的に検討)
  • 工学的対策:歩車分離、警報装置の設置
  • 管理的対策:運行ルートの明確化、教育の実施
  • 保護具:反射ベストの着用

ステップ4:対策の実施

  • 歩行者通路をテープで明示(即日実施)
  • 警報装置の設置(1ヶ月以内)
  • 安全教育の実施(来週)

ステップ5:記録と見直し

  • リスクアセスメント表に記録
  • 3ヶ月後に効果を検証

よくある失敗と対策

リスクアセスメントで陥りやすい失敗を紹介する。

失敗1:危険の洗い出しが不十分

一人で考えると、見落としが多くなる。

対策:複数人でブレインストーミングする。現場の作業者にヒアリングする。過去のヒヤリハット報告を活用する。

失敗2:対策が「保護具の使用」だけになる

保護具は最後の手段だ。それだけに頼ってはいけない。

対策:対策の優先順位(本質的→工学的→管理的→保護具)を意識する。「危険そのものをなくせないか」を最初に考える。

失敗3:やりっぱなしで見直しをしない

一度やって終わりでは、効果が持続しない。

対策:定期的な見直しをスケジュールに組み込む。事故やヒヤリハット発生時は必ず見直す。


リスクアセスメントを効率化する

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まとめ

リスクアセスメントは、事故が起きる前に危険を潰す予防的な手法だ。

5ステップの進め方

  1. 危険性・有害性の特定(危険を洗い出す)
  2. リスクの見積もり(重篤度×発生可能性)
  3. リスク低減措置の検討(優先順位をつける)
  4. リスク低減措置の実施(責任者と期限を明確に)
  5. 記録と見直し(定期的にPDCA)

対策の優先順位

  1. 本質的対策(危険をなくす)
  2. 工学的対策(安全装置を設置)
  3. 管理的対策(ルールを整備)
  4. 保護具の使用(最後の手段)

リスクアセスメントは、一度やって終わりではない。作業内容や設備が変わるたびに見直し、継続的に安全レベルを高めていくことが重要だ。


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2025年12月28日公開

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