現場コンパス

KY活動の進め方|危険予知記録の書き方と4ラウンド法

著者: GenbaCompass9
#KY活動#危険予知活動#4ラウンド法#危険予知記録#安全管理

「毎日のKY活動、マンネリ化していませんか?」

朝礼で危険予知シートを読み上げるだけ。同じような内容が繰り返されて、作業員も真剣に聞いていない。

KY活動は、労働災害を防ぐための重要な取り組みだ。しかし、形だけになってしまうと効果は薄れる。

この記事では、KY活動の基本的な進め方から、効果的な記録の書き方、そしてマンネリを防ぐコツまで解説する。


KY活動とは

KY活動とは、「K(危険)Y(予知)活動」の略。作業前に潜む危険を予測し、対策を立てることで労働災害を未然に防ぐ取り組みだ。

なぜKY活動が必要なのか

建設現場や製造現場では、高所作業、重機作業、電気作業など、危険を伴う作業が日常的に行われる。

一瞬の油断が重大事故につながる。「今日は大丈夫だろう」という慢心が、取り返しのつかない結果を招くこともある。

KY活動は、作業前に「どんな危険があるか」を全員で考え、安全意識を高めるための時間だ。

KY活動の効果

適切に実施されたKY活動には、以下の効果がある。

  • 危険の見える化:潜む危険を言語化して共有
  • 安全意識の向上:毎日の活動で安全への意識を高める
  • チームの一体感:全員で安全を考える文化を醸成
  • 事故の未然防止:事前に対策を立てて実行

4ラウンド法とは

KY活動を効果的に進めるための基本的な手法が「4ラウンド法」だ。

4つのラウンド

ラウンド テーマ 内容
第1R 現状把握 どんな危険があるか洗い出す
第2R 本質追求 最も重要な危険を絞り込む
第3R 対策樹立 危険への対策を考える
第4R 目標設定 行動目標を決めて唱和する

第1ラウンド:現状把握

まず、作業にどんな危険が潜んでいるかを洗い出す。

ポイント

  • 数を重視する(質より量)
  • 批判・否定はしない
  • 全員が発言できるようにする

: 「開口部から転落する危険がある」 「重機の死角に入る危険がある」 「資材が落下する危険がある」

第2ラウンド:本質追求

第1ラウンドで出た危険の中から、最も重要なものを絞り込む。

ポイント

  • 発生頻度と重大性で評価
  • チーム全員で合意を得る
  • 2〜3項目に絞り込む

絞り込みの基準

  • 発生したら重大な結果になるか
  • 発生する可能性が高いか
  • 今日の作業で特に注意が必要か

第3ラウンド:対策樹立

絞り込んだ危険に対して、具体的な対策を考える。

ポイント

  • 実行可能な対策を出す
  • 「〜する」というアクションで表現
  • 複数の対策を出す

NG例:「注意する」「気をつける」 OK例:「安全帯を使用する」「立入禁止区域を設置する」

第4ラウンド:目標設定

対策の中から、今日の行動目標を決める。

ポイント

  • 具体的で分かりやすい表現
  • 全員で唱和できる短いフレーズ
  • 「〜しよう」で締める

: 「開口部では安全帯を使用しよう!」 「重機の周りでは誘導員を配置しよう!」


KY記録の書き方

KY活動の内容は、KY活動表(危険予知活動表)に記録する。

基本的な記入項目

項目 内容
日付・天候 作業日と天候条件
作業場所 現場名、作業エリア
作業内容 今日の作業の概要
参加者 KY活動に参加したメンバー
危険ポイント 洗い出した危険
対策 危険への対策
行動目標 今日の目標

書き方のポイント

ポイント1:具体的に書く

抽象的な表現は避け、具体的な行動を書く。

  • NG:「足元に注意する」
  • OK:「段差部分には注意喚起テープを貼る」

ポイント2:行動で書く

「〜しない」ではなく、「〜する」で書く。

  • NG:「手すりを乗り越えない」
  • OK:「手すり内側で作業する」

ポイント3:実行可能な対策を書く

現場で実現できない対策を書いても意味がない。

  • NG:「天候が良くなるまで待つ」(コントロールできない)
  • OK:「雨天時は滑り止め対策を強化する」

ポイント4:見直しやすく書く

後から振り返って検証できるよう、読みやすく整理する。


危険予知の例文

作業別の危険予知と対策の例文を紹介する。

高所作業

危険:足場から転落する 対策:安全帯(フルハーネス)を使用し、親綱に接続する

危険:工具を落下させる 対策:工具に落下防止ストラップを付ける

重機作業

危険:重機の死角に入り接触する 対策:誘導員を配置し、作業範囲を明示する

危険:重機のアームに巻き込まれる 対策:作業半径内への立入禁止措置を取る

電気作業

危険:充電部に接触し感電する 対策:検電を行い、停電を確認してから作業する

危険:絶縁不良により感電する 対策:絶縁手袋・絶縁シートを使用する

運搬作業

危険:資材を落下させる 対策:玉掛けワイヤーの選定を確認し、介錯ロープを使用する

危険:荷崩れが起きる 対策:積載量を確認し、荷締めを確実に行う


マンネリ化を防ぐコツ

毎日のKY活動がマンネリ化すると、効果が薄れる。防止策を紹介する。

コツ1:リーダーを交代制にする

毎日同じ人がリーダーをすると、発言が偏る。交代制にすることで、新しい視点が生まれる。

コツ2:過去の事故事例を活用する

自社や同業他社の事故事例を題材にする。「うちでも起きるかもしれない」という当事者意識を持たせる。

コツ3:季節・天候を考慮する

季節や天候によって危険は変わる。

  • 夏:熱中症、雷
  • 冬:凍結、低体温症
  • 雨天:滑り、視界不良

コツ4:ヒヤリハット情報を共有する

現場で起きたヒヤリハット(事故に至らなかったが危険だった出来事)を共有する。リアルな体験は、危険予知の精度を高める。

コツ5:イラストや写真を活用する

文字だけでなく、イラストや現場写真を使うと、危険をイメージしやすくなる。


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効果的なKY活動のチェックリスト

KY活動を効果的に行うためのチェックリストを紹介する。

準備

  • 参加者は5〜6名程度か
  • リーダー、書記を決めたか
  • 今日の作業内容を確認したか

第1ラウンド

  • 全員が発言できているか
  • 批判・否定をせずに聞いているか
  • 十分な数の危険が出たか

第2ラウンド

  • 重要な危険を絞り込んだか
  • 全員で合意できているか

第3ラウンド

  • 具体的な対策を出したか
  • 実行可能な対策か
  • 「〜する」で表現しているか

第4ラウンド

  • 行動目標を決めたか
  • 全員で唱和したか
  • 記録を残したか

まとめ

KY活動は、労働災害を防ぐための基本的な取り組みだ。

4ラウンド法の流れ

  1. 現状把握:危険を洗い出す
  2. 本質追求:重要な危険を絞り込む
  3. 対策樹立:具体的な対策を考える
  4. 目標設定:行動目標を決めて唱和

記録の書き方

  • 具体的に書く
  • 「〜する」で行動を書く
  • 実行可能な対策を書く
  • 見直しやすく整理する

マンネリ防止

  • リーダーを交代制に
  • 事故事例やヒヤリハットを活用
  • 季節・天候を考慮
  • イラストや写真を活用

形だけのKY活動では、災害は防げない。全員が真剣に参加し、危険を自分ごととして考えることが大切だ。

明日のKY活動から、一つでも新しい工夫を取り入れてみてほしい。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。