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設備の異音診断|故障の兆候を音で見つける方法

著者: GenbaCompass8
#異音診断#設備保全#AI#ベアリング#予兆保全

「最近、あの設備の音がいつもと違う気がする…」

ベテランの技術者は、設備の音を聴いただけで異常を察知する。しかし、その「耳」は長年の経験でしか養えないと思われてきた。

設備の異常は、多くの場合「音」に現れる。音の変化に気づけば、故障を未然に防ぐことができる。

この記事では、設備の異音から故障の兆候を見つける方法と、最新のAI異音検知技術について解説する。


なぜ設備は異音を発するのか

設備が異音を発する原因は、主に以下の通りだ。

異音が発生する主な原因

原因 具体例 発生する音
摩耗 ベアリングの劣化、歯車の摩耗 ゴロゴロ、シャー
潤滑不良 グリース切れ、油膜不足 キーキー、ギシギシ
異物混入 ゴミ、切粉の侵入 カラカラ、ジャリジャリ
緩み ボルト、ナットの緩み ガタガタ、カタカタ
共振 回転数と固有振動数の一致 ビーン、ウォーン
過負荷 想定以上の負荷 うなり音の増大

ベアリング(軸受)の異音

設備の異音で最も多いのが、ベアリングの異常だ。

正常なベアリング: 滑らかに回転し、音は静か。

異常なベアリング

  • 「ゴロゴロ」:玉やころの欠け、転走路面の損傷
  • 「シャー」:摩耗による高周波成分の変化
  • 「キーキー」:潤滑剤の不足
  • 周期的な衝撃音:内輪・外輪の損傷

異音が聞こえたら、早急に点検することが重要だ。


異音診断の基本

設備の異音を診断する基本的な方法を紹介する。

聴診棒による診断

最もシンプルな方法が「聴診棒」を使った診断だ。

使い方

  1. 聴診棒を設備に当てる
  2. 反対側を耳に当てて音を聴く
  3. 正常時と比較して変化を確認

ポイント

  • 同じ場所、同じ条件で比較する
  • 定期的に聴いて、変化に気づけるようにする
  • 複数箇所を比較する

振動計による診断

振動を数値化して診断する方法。

測定項目

  • 振動速度(mm/s)
  • 振動加速度(G)
  • 周波数スペクトル

メリット

  • 定量的に評価できる
  • 経時変化を記録できる
  • 基準値との比較ができる

音響診断(マイクによる診断)

マイクで設備音を録音し、分析する方法。

メリット

  • 非接触で測定できる
  • 広い範囲を一度に診断できる
  • 人間の聴覚では分からない異常も検出可能

ベテランの「耳」をAIで再現

近年、AI(人工知能)を使った異音検知が注目されている。

AI異音検知の仕組み

学習フェーズ

  1. 正常時の設備音を大量に録音
  2. AIが正常音のパターンを学習
  3. 「正常な音」のモデルを構築

検知フェーズ

  1. 設備音をリアルタイムで取得
  2. 学習したモデルと比較
  3. 異常を検知したらアラート

AI異音検知のメリット

1. 24時間監視 人間のように疲れることなく、常時監視できる。

2. 定量的な判断 「なんとなくおかしい」ではなく、数値で異常度を評価。

3. 早期検知 人間の耳では気づかない微細な変化も検出。

4. 技術継承 ベテランの「耳」をAIに移植し、若手でも同じ判断が可能。

5. ノイズ耐性 工場の環境音に対するノイズ耐性が高く、誤検知を低減。

外れ値検知という手法

異常音が稀にしか発生しない場合、「外れ値検知」という手法が使われる。

仕組み

  • 正常音のみを学習
  • 「正常音以外の音」を異常と判定
  • 異常データがなくても学習可能

これにより、過去に発生したことのない異常も検知できる。


異音診断の対象設備

異音診断が特に有効な設備を紹介する。

回転機器

  • モーター:ベアリング、巻線の異常
  • ポンプ:インペラの摩耗、キャビテーション
  • ファン:羽根のアンバランス、軸の異常
  • コンプレッサー:弁の異常、ベアリングの劣化

伝達機構

  • ギアボックス:歯車の摩耗、欠損
  • チェーン:伸び、スプロケットの摩耗
  • ベルト:緩み、亀裂

工作機械

  • スピンドル:ベアリングの劣化
  • 送り軸:ボールねじの摩耗
  • 加工音:工具の摩耗、びびり

異音診断を始めるステップ

異音診断を現場に導入するためのステップを紹介する。

ステップ1:対象設備の選定

すべての設備を診断するのは現実的ではない。以下の基準で優先順位をつける。

選定基準

  • 故障時の影響が大きい(ボトルネック設備)
  • 過去に突発故障が多い
  • 異音が発生しやすい回転機器

ステップ2:正常音の記録

異常を検知するには、まず「正常な音」を知る必要がある。

記録のポイント

  • 設備が健全な状態で録音
  • 複数の運転条件で録音(起動時、定常運転、停止時)
  • 同じ場所、同じ条件で録音

ステップ3:定期的な診断

定期的に音を聴いて、変化を確認する。

診断の頻度

  • 重要設備:毎日または毎週
  • 一般設備:毎月
  • 変化があれば頻度を上げる

ステップ4:異常時の対応

異常を検知したら、速やかに対応する。

対応の流れ

  1. 異常の確認(本当に異常か)
  2. 原因の推定
  3. 対策の実施(計画停止、部品交換など)
  4. 効果の確認

📱 設備の異音をAIで検知

「PlantEar」は、設備の異音をAIで検知する予兆保全アプリ。

スマートフォンのマイクで設備音を録音するだけで、異常の兆候を分析。高価な専用センサーを設置しなくても、手軽に異音診断を始められる。

ベテランの「耳」をAIが再現し、経験の浅い担当者でも異常を検知できる。

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まとめ

設備の異常は、多くの場合「音」に現れる。

異音の主な原因

  • ベアリングの摩耗・損傷
  • 潤滑不良
  • 異物混入
  • 部品の緩み

異音診断の方法

  • 聴診棒による診断
  • 振動計による診断
  • 音響診断(マイク・AI)

AI異音検知のメリット

  • 24時間の常時監視
  • 人間の耳では分からない異常も検出
  • ベテランの「耳」をAIで再現

導入のステップ

  1. 対象設備の選定
  2. 正常音の記録
  3. 定期的な診断
  4. 異常時の対応

「いつもと違う音がする」と気づいた時には、もう手遅れかもしれない。日頃から設備の音に耳を傾け、変化に気づける体制を整えよう。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

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