現場コンパス

新規入場者教育の効率化|建設現場の安全教育を時短する方法

著者: GenbaCompass8
#新規入場者教育#安全教育#建設業#効率化#2024年問題

「毎日同じ説明を何度もするのが大変…」

建設現場では、新規入場者教育に多くの時間を取られている。1日に何人も入場すれば、その都度同じ説明を繰り返すことになる。

2024年4月から建設業でも時間外労働の上限規制が本格適用され、現場の効率化が待ったなしの状況だ。

この記事では、新規入場者教育の基本と、教育時間を効率化する方法を解説する。


新規入場者教育とは

新規入場者教育は、建設現場に初めて入る作業員に対して行う安全教育だ。

法的根拠

新規入場者教育は、労働安全衛生法第59条・第60条および労働安全衛生規則第642条の3に基づく。

項目 内容
根拠法 労働安全衛生法・労働安全衛生規則
実施義務 元請業者(特定元方事業者)
対象 現場に初めて入場する作業員
記録保存 原則5年間

なぜ重要なのか

建設現場では、入場1週間以内に被災するケースが非常に多い

新しい現場では、危険箇所や安全ルールが分からない状態で作業を始めることになる。事故を防ぐためには、作業開始前に現場の状況を理解させることが不可欠だ。

実施のタイミング

新規入場者教育は、以下のタイミングで実施する。

1. 協力会社が請負工事を開始する時 新しい協力会社が現場に入る最初のタイミング。

2. 作業所に初めて入場する時 すでに稼働中の現場に、新たに作業員が加わるタイミング。


新規入場者教育の内容

厚生労働省の「元方事業者による建設現場安全管理指針」に基づき、以下の内容を教育する。

必須の教育項目

項目 内容
現場の状況 混在作業場所の状況、配置図
危険箇所 開口部、高所、重機作業エリアなど
作業間の関係 他業種との作業調整、干渉事項
退避方法 緊急時の避難経路、集合場所
指揮命令系統 現場責任者、連絡体制
作業内容 担当作業と労働災害防止対策
安全衛生規定 現場のルール、禁止事項
安全衛生計画 現場の安全衛生管理計画

現場ごとの追加項目

現場の特性に応じて、以下の項目も教育する。

  • 使用する重機・設備の注意点
  • 保護具の着用ルール
  • 危険物・有害物の取り扱い
  • 熱中症対策(夏季)
  • 転倒防止対策(冬季)

教育にかかる時間の問題

新規入場者教育には、多くの時間がかかっている。

現場が抱える課題

繰り返しの説明: 1日に複数回、同じ説明を繰り返す。協力会社ごとに説明すると、1日3〜4回になることも。

担当者の負担: 現場所長や安全担当者が教育を担当するため、本来の業務に支障が出る。

説明内容のばらつき: 担当者によって説明内容や質にばらつきが生じる。

書類作成の手間: 教育実施報告書の作成、署名の収集に時間がかかる。

2024年問題との関連

2024年4月から建設業でも時間外労働の上限規制が本格適用された。

これにより、現場の長時間労働が許されなくなり、繰り返し業務の効率化が急務となっている。


教育を効率化する方法

新規入場者教育を効率化するための方法を紹介する。

方法1:動画による教育

現場説明を動画にしておき、新規入場者に視聴させる方法。

メリット

  • 同じ説明を何度も繰り返す必要がない
  • 説明内容が統一される
  • 担当者の負担が軽減される
  • いつでも視聴できる

ポイント

  • 現場の全景、危険箇所を撮影
  • 字幕やナレーションを追加
  • 5〜10分程度にまとめる

方法2:タブレット・スマホの活用

紙の資料をデジタル化し、タブレットやスマホで説明する。

メリット

  • 資料の印刷が不要
  • 最新情報への更新が容易
  • 署名も電子化できる

方法3:教育内容のテンプレート化

教育内容をあらかじめテンプレート化し、現場ごとにカスタマイズする。

テンプレートの構成例

  1. 会社概要・安全方針(共通)
  2. 現場概要・工程(現場固有)
  3. 危険箇所・注意事項(現場固有)
  4. 緊急時対応(共通+現場固有)
  5. 現場ルール(現場固有)

方法4:送り出し教育との連携

協力会社が行う「送り出し教育」と連携し、現場での教育時間を短縮する。

送り出し教育: 協力会社が自社の作業員に対して、現場入場前に行う教育。

連携のポイント

  • 送り出し教育で共通事項を教育
  • 現場では現場固有の事項に集中
  • 教育内容の重複を避ける

書類管理の効率化

教育実施報告書の管理も効率化のポイントだ。

報告書の基本

教育実施報告書は、全国建設業協会(全建)が定めた「全建統一参考様式第7号」に基づくフォーマットが一般的。

記載項目

  • 教育実施日時
  • 教育内容
  • 教育実施者
  • 受講者氏名・署名
  • 所属会社

電子化のメリット

検索性の向上: 過去の記録をすぐに検索できる。

保管スペースの削減: 5年分の書類を紙で保管する必要がない。

監査対応の迅速化: 労働基準監督署の調査にすぐ対応できる。


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まとめ

新規入場者教育は、労働安全衛生法に基づく重要な安全教育だ。

新規入場者教育の目的

  • 入場1週間以内の被災を防ぐ
  • 現場の危険箇所・ルールを周知
  • 作業開始前に安全意識を高める

教育の必須項目

  • 現場の状況と危険箇所
  • 退避方法と指揮命令系統
  • 作業内容と安全衛生規定

効率化の方法

  1. 動画による教育
  2. タブレット・スマホの活用
  3. 教育内容のテンプレート化
  4. 送り出し教育との連携

書類管理のポイント

  • 電子化で検索性向上
  • 5年間の保存義務に対応
  • 監査対応の迅速化

2024年問題で現場の効率化が求められる今、新規入場者教育も見直しの時期だ。動画やデジタルツールを活用して、安全を確保しながら効率化を進めよう。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。