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現場のDX推進|成功と失敗の分かれ目

8DX・デジタル変革
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「DXを進めたいが、どこから手をつければいいかわからない」

製造業でDXへの取り組みが加速している。しかし、経済産業省「DXレポート2(2020年12月)」によれば、自己診断を実施した企業の9割以上がDX未着手または散発的な実施にとどまっており、部門横断で持続的にDXに取り組めている企業はわずか数%に過ぎない。

この記事では、製造業のDX成功事例と失敗パターンを分析し、現場主導のDX推進のポイントを紹介する。


製造業DXとは

製造業DXとは、デジタル技術を活用して製造業のビジネスモデルや業務プロセスを変革することだ。

DXの目的

製造業におけるDXの目的は、以下の3つに分類できる。

目的 内容
業務効率化 生産性向上、コスト削減
品質向上 不良削減、トレーサビリティ強化
新たな価値創造 新製品・サービスの開発

製造業DXの領域

製造業DXは、以下の領域で進められている。

  • 設計・開発:3D CAD、シミュレーション、デジタルツイン
  • 生産管理:IoTによる設備監視、生産計画の最適化
  • 品質管理:AI画像検査、データ分析
  • 保全:予知保全、設備のリモート監視
  • サプライチェーン:需要予測、在庫最適化

DX推進の失敗パターン

多くの企業がDX推進で失敗している。代表的な失敗パターンを紹介する。

失敗パターン1:現場不在のトップダウン

経営層やIT部門が主導で進めた結果、現場の意見やニーズが反映されない。

結果として、PoC(概念実証)段階で止まる、導入したシステムが実際の業務に適合しない、現場からの反発を招く、といった問題が起きる。

現場の業務フローや課題を十分に理解せずに進めると失敗する。

失敗パターン2:技術導入が目的化

AIやIoTといった技術の導入そのものが目的になってしまう。

高価なシステムを導入したが使われない、期待した効果が出ない、投資回収ができない。技術は手段であり、目的ではない。解決すべき課題を明確にしてから取り組む必要がある。

失敗パターン3:レガシー設備との格闘

長年使用してきたレガシー設備との互換性が低く、データ取得が困難なケースがある。

既存設備との接続に予想以上のコストが発生し、プロジェクト全体の予算を圧迫して計画が頓挫することもある。既存設備の状況を事前に調査し、現実的な計画を立てることが重要だ。

失敗パターン4:一気に全体最適を目指す

最初から全社的なシステム構築を目指すと、要件定義が膨大になりプロジェクトが長期化する。途中で方針が変わってやり直しが発生し、成果が出る前にプロジェクトが中止となるリスクも高い。

スモールスタートで成功体験を積み重ねる方が、結果的に早く全社展開へとつながる。


DX成功のポイント

DXを成功させるための5つのポイントを紹介する。

ポイント1:スモールスタート

小さな課題から始め、成功体験を積み重ねる。

具体例としては、1つの設備からIoTセンサーを導入する、1つの工程からペーパーレス化を進める、1つのラインから画像検査を導入するといった取り組みが挙げられる。

投資リスクを抑えながら、現場が効果を実感できるため、次のステップへの弾みがつきやすい。

ポイント2:現場起点の課題設定

現場の困りごとを起点に課題を設定する。

「この作業に時間がかかっている」「この記録を手書きしているのが面倒」「この検査が属人化している」——こうした現場の声から始めることで、当事者意識が生まれ、解決したときの効果も実感しやすい。現場からの抵抗も少なくなる。

ポイント3:現場とITの橋渡し

現場を熟知したメンバーとITエンジニアをつなぐ「橋渡し役」を置く。

デジタル推進室の設置、ブリッジエンジニアの配置、現場リーダーへのIT教育などがその例だ。コミュニケーションの壁を解消することで、現場のニーズがシステムに反映され、導入後の定着もスムーズになる。

ポイント4:トップダウンとボトムアップの融合

経営層のコミットメントと現場の主体性を両立させる。

トップダウンでは、DXビジョンの明示、投資の意思決定、部門横断の推進体制が必要だ。一方、ボトムアップでは、現場課題の吸い上げ、改善アイデアの募集、現場リーダーの育成が重要になる。

全社的な方向性と現場の実行力が両立することで、持続的なDX推進が可能になる。

ポイント5:学びながら進める

最初から完璧を目指さず、試行錯誤しながら進める。

まずプロトタイプで検証し、効果を測定しながら改善し、失敗から学んで次に活かす。このサイクルを回すことで、変化に柔軟に対応できるようになり、現場の「自走力」が高まっていく。


成功事例:現場主導のDX

現場主導でDXを成功させた事例を紹介する。

事例:中堅製造業のブリッジエンジニア

輸送用機械器具の製造を行う中堅企業では、現場とIT部門のコミュニケーション不足が長年の課題だった。

この企業では、製造現場を熟知したメンバーとITエンジニアで「ブリッジエンジニア」チームを結成。現場のトラブルや課題を聞き取り、ITで解決できるシステムを設計した。また社内にデジタル推進室を設置し、現場とITベンダーの橋渡し役を担当する体制を整えた。

結果として、現場の課題がシステムに反映されるようになり、導入後の定着がスムーズになった。継続的なDX推進の仕組みも確立できた。


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まとめ

製造業のDXは、現場を巻き込んで進めることが成功の鍵だ。

失敗パターンとして多いのは、現場不在のトップダウン、技術導入の目的化、レガシー設備との格闘、一気に全体最適を目指すことの4つだ。

これを避けるための成功のポイントは以下の5つに集約される。

  1. スモールスタートで始める
  2. 現場起点で課題を設定する
  3. 現場とITの橋渡し役を置く
  4. トップダウンとボトムアップを融合する
  5. 学びながら進める

DXは最初から完全装備で始める必要はない。「学びながら進める」「スモールスタートで始める」姿勢で、自走力を少しずつ高めていくことが大切だ。

現場の課題を起点に、一歩ずつDXを進めていこう。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。

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