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振動診断による設備異常の早期発見|ベアリング・ギア・アンバランスの検知

著者: GenbaCompass8
#振動診断#予知保全#ベアリング#アンバランス#ミスアライメント#設備保全#振動測定

「設備の突発故障で生産が止まった」

製造業において設備の突発故障は、生産停止、納期遅延、修復費用など、大きな損失を招く。実際に、ベアリングの偏摩耗により攪拌機シャフトが溶断・落下し、数千万円の損害が発生した事例もある。

この記事では、振動診断による設備異常の早期発見方法を解説する。ベアリング、ギア、アンバランスなど、異常の種類ごとの振動パターンと対処法を紹介する。


振動診断とは

振動診断は、設備の振動パターンを分析して異常の兆候を検出する技術だ。

なぜ振動診断が有効なのか

振動には機械全体の状態を表すパラメータ(加速度・速度・変位など)が多く含まれる。設備異常の初期段階からパラメータに変化が現れるため、異音や発熱より早く兆候を捉えることができる。

兆候の種類 検出タイミング
振動変化 異常の初期段階で検出可能
異音 振動変化より遅れて発生
発熱 異常がかなり進行してから発生

振動診断は、予知保全(予兆保全)の核となる技術だ。


振動の測定パラメータ

振動診断では、異常の種類に応じて測定パラメータを使い分ける。

振動速度と振動加速度

パラメータ 周波数帯 検出できる異常
振動速度 10~1,000Hz アンバランス、ミスアライメント、ゆるみ
振動加速度 1,000Hz超 ベアリング傷、ギア欠損、微細な損傷
  • 低周波(10~1,000Hz):回転体のアンバランスや軸心のずれなど、機械全体の異常
  • 高周波(1,000Hz超):ベアリングの傷やギアの欠損など、部品レベルの異常

異常の種類によって振動が発生する周波数帯が異なるため、適切な振動センサを選択することが重要だ。


異常の種類と振動パターン

代表的な設備異常と、その振動パターンを解説する。

ベアリング異常

ベアリングの損傷は、製造設備で最も多い故障原因の一つだ。

ベアリング異常の兆候

  • 高周波(1,000Hz超)の振動が増加
  • 振動パターンに「雑味」が発生
  • 温度上昇、異音の発生

損傷の進行パターン

  1. 初期段階:微細な振動パターンの乱れ
  2. 進行段階:振動レベルの増加、異音の発生
  3. 末期段階:発熱、焼付き、軸受の破損

ベアリング異常は高周波の振動加速度で検出する。

アンバランス

回転体の質量分布が不均一な状態。

アンバランスの振動パターン

  • 回転周波数(1×rpm)に大きなピーク
  • 振動の方向は主に径方向
  • 回転速度に比例して振動が増加

主な原因

  • 羽根車やローターの摩耗
  • 付着物の堆積
  • 部品の欠損

ミスアライメント(軸心のずれ)

モーターと被駆動機の軸心がずれた状態。

ミスアライメントの振動パターン

  • 回転周波数の2倍(2×rpm)にピーク
  • 軸方向の振動が大きい
  • 軸継手部の温度上昇

主な原因

  • 据付け精度の不良
  • 熱膨張による軸心のずれ
  • 基礎の沈下

ギア異常

歯車の摩耗や損傷による異常。

ギア異常の振動パターン

  • 歯車のかみ合い周波数にピーク
  • 側帯波(サイドバンド)の発生
  • 異常が進行すると広い周波数帯でノイズ増加

主な原因

  • 歯面の摩耗
  • 歯の欠損・ピッチング
  • 潤滑不良

ゆるみ

機械の固定部にガタがある状態。

ゆるみの振動パターン

  • 回転周波数の整数倍(1×, 2×, 3×...)にピーク
  • 振動波形が不規則
  • 衝撃的な振動成分

主な原因

  • ボルトの締付け不足
  • 軸受の過大すきま
  • 基礎の劣化

振動診断の進め方

振動診断を効果的に進めるためのステップを紹介する。

ステップ1:基準値の設定

まず、正常時の振動レベルを測定し、基準値を設定する。

基準値の設定方法

  • 新設備:メーカー推奨値を採用
  • 既存設備:正常運転時のデータを蓄積
  • 業界標準:ISO 10816などの規格を参考

ステップ2:定期測定

定期的に振動を測定し、トレンドを監視する。

測定頻度の目安

設備の重要度 測定頻度
重要設備(Aランク) 週1回〜毎日
一般設備(Bランク) 月1回〜週1回
補助設備(Cランク) 3ヶ月〜月1回

ステップ3:トレンド分析

振動レベルの変化をトレンドグラフで可視化する。

注目ポイント

  • 振動レベルの上昇傾向
  • 急激な変化
  • 季節変動(温度の影響)

ステップ4:周波数分析

異常が疑われる場合、周波数分析で原因を特定する。

周波数分析のポイント

  • 回転周波数との関係を確認
  • ベアリング固有周波数との照合
  • 正常時との比較

ステップ5:対策の実施

異常の種類に応じた対策を実施する。

異常の種類 対策
ベアリング異常 交換、潤滑補給
アンバランス バランス調整、清掃
ミスアライメント 芯出し調整
ギア異常 交換、潤滑油交換
ゆるみ ボルト増し締め、交換

振動監視の導入効果

振動監視による予知保全を導入すると、以下の効果が期待できる。

コスト削減

  • 突発故障による生産停止の削減
  • 部品の寿命を使い切れる(過剰交換の防止)
  • 計画的な補修による効率化

設備稼働率の向上

  • 突発停止時間の削減
  • 計画停止への移行
  • 設備総合効率(OEE)の向上

安全性の向上

  • 重大事故の未然防止
  • 二次災害の防止
  • 作業環境の改善

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まとめ

振動診断は、設備異常を早期に発見するための有効な手法だ。

振動診断のポイント

  • 異音や発熱より早く異常を検出できる
  • 振動速度(低周波)と振動加速度(高周波)を使い分ける

代表的な異常と振動パターン

  • ベアリング異常:高周波の振動増加
  • アンバランス:回転周波数にピーク
  • ミスアライメント:回転周波数の2倍にピーク
  • ギア異常:かみ合い周波数にピーク
  • ゆるみ:回転周波数の整数倍にピーク

振動診断の進め方

  1. 基準値の設定
  2. 定期測定
  3. トレンド分析
  4. 周波数分析
  5. 対策の実施

振動診断を活用して、設備の突発故障を未然に防ぎ、安定した生産を実現しよう。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。