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安全衛生法の改正ポイント|2025-2026年に現場が対応すべきこと

著者: GenbaCompass14
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2025年から2026年にかけて、労働安全衛生法は複数の段階的な改正が重なっている。 一人親方への保護措置拡大、化学物質管理の抜本的見直し、ストレスチェック義務化の対象拡大と、現場が対応すべき項目は多い。 この記事では、各改正の施行日・内容・現場への影響を整理し、法令準拠チェックをどう効率化するかを具体的に示す。

2025-2026年の主な改正一覧

まず全体像を把握しておきたい。施行時期ごとに改正内容を整理した。

施行時期 改正内容 対象
2025年4月1日 退避・立入禁止等の保護措置の対象拡大(一人親方・他社労働者を含む) 全事業場
2025年4月1日 表示・通知義務対象の化学物質を約700物質追加(合計約2,300物質へ) 化学物質取扱事業場
2026年4月1日 SDS(安全データシート)通知義務の対象拡大・記載方法変更 化学物質取扱事業場
2026年10月1日 個人ばく露測定の作業環境測定への組み込みと有資格者実施義務化 有害物質取扱事業場
2028年5月まで(政令指定日) ストレスチェックの50人未満事業場への義務化 全事業場

出典:厚生労働省「労働安全衛生法の改正」、スマートSDSジャーナル(2025年)

改正は一度に完結しない。2025年に対応し終えたと思っても、2026年以降に追加で対応が必要な項目が続く。現場担当者は施行スケジュールを単年度で捉えず、複数年の対応計画として管理することが求められる。

2025年4月改正①:一人親方・他社労働者への保護措置義務化

最も現場への影響が大きい改正の一つが、保護措置の対象範囲の拡大である。

これまで、退避・立入禁止・火気使用禁止・悪天候時作業禁止といった安全措置は、自社の雇用労働者のみを対象としていた。 2025年4月1日以降は、同じ作業場所で働くすべての人が保護対象となった。 具体的には以下が含まれる。

  • 自社の雇用労働者(従来から対象)
  • 他社の労働者(協力会社の従業員など)
  • 一人親方・フリーランス
  • 資材搬入業者・警備員など契約形態を問わない関係者

この改正の背景には、2021年5月の最高裁「建設アスベスト訴訟」判決がある。 労働者以外の者も安全衛生上の保護が必要と判断され、法改正に至った(出典:厚生労働省)。

現場が取るべき対応

元請事業者は、危険箇所での作業を下請事業者や一人親方に行わせる際、保護具の使用が必要であることを事前に周知する義務を負う。 口頭だけでなく、書面・掲示・安全ミーティング等での周知記録を残すことが重要だ。 安全書類の整備や入場者管理のデジタル化を進めていない現場では、周知漏れのリスクが生じやすい。

2025年4月改正②:化学物質の表示・通知義務対象の大幅拡大

2025年4月1日から、ラベル表示・SDS交付の義務対象物質が大幅に追加された。

これまでの対象は主に労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる物質(約900種)だったが、改正後は約2,300種に拡大している。 追加された物質は、政府がGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)分類を行い、有害性が「区分1」と特定されたものを中心に選定された。

また、規定方法が「施行令別表への個別追記」から「厚生労働省令による規定」へと変更された。 これにより今後の物質追加が機動的になり、対象物質は継続的に増加する可能性がある。

製造・化学系現場への実務的影響

  • 取り扱い化学物質のリスト(化学物質目録)を最新の義務対象物質と照合する必要がある
  • 新たに対象となった物質を使用している場合、ラベル表示とSDSの整備・更新が必要
  • SDSは取引先への提供義務もあるため、書類整備の遅れはサプライチェーン全体に影響する

出典:スマートSDSジャーナル「2025年4月1日 労働安全衛生法の改正まとめ」(2025年)

2026年施行予定の改正:SDS・個人ばく露測定・ストレスチェック

2026年は複数の改正が重なる年である。

SDS通知義務の対象拡大(2026年4月施行)

2026年4月以降、SDS交付義務の対象がさらに拡大される。 有害性が確認されたすべての化学物質が対象となり、従来の指定物質リストに縛られない形になる。

また、企業秘密に該当する成分については、有害性が低い場合に限り、届け出た代替名称を記載することが認められる。 ただし、人体への影響・応急処置・救急対応に関する情報は必ず記載しなければならない点に注意が必要だ。

出典:Charlotte「2026年4月施行 改正労働安全衛生法で変わるSDS通知義務」(2025年)

個人ばく露測定の義務化(2026年10月施行)

2026年10月1日から、一定の有害物質を取り扱う作業場では「個人ばく露測定」が作業環境測定の一方法として正式に位置づけられる。

従来の作業環境測定は作業場全体の空気中濃度を把握するものだったが、個人ばく露測定は労働者個人が実際に吸入・接触する濃度を把握する手法である。 測定は必要な講習を修了した作業環境測定士など有資格者が実施しなければならない。

ストレスチェック義務化の範囲拡大(2028年5月までに施行)

2025年5月14日公布の改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化が決定した。 具体的な施行日は「公布後3年以内に政令で定める日」とされており、最長で2028年5月までに施行される。

現時点(2026年3月)では施行日は未確定だが、厚生労働省は「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」を2026年2月に公表しており、準備を促している。 50人未満の中小事業場は、早期に担当者を決め、実施体制を整えておくことが望ましい。

出典:日本社会保険労務士法人「2026年から労働安全衛生法改正 中小企業の対応は?」(2025年)


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現場が法改正に対応できていない実態

労働災害統計は、法整備が進む一方で現場対応が追いついていない現実を示している。

厚生労働省の発表によると、2024年の建設業における労働災害死亡者数は232人で、全産業の31.1%を占めた。 前年比では増加傾向にあり、法改正が繰り返されても死亡者数が減少していない実態がある(出典:日本工業経済新聞社 2025年)。

このギャップが生まれる原因の一つは、法改正の内容が現場担当者まで適切に伝わっていないことだ。 施行令や省令の改正は官報に掲載されるが、現場管理者が日常業務の中でキャッチアップするのは容易ではない。 特に複数の改正が同年に重なる時期は、何から対応すればよいか判断に迷うケースも多い。

AIで法令準拠チェックを自動化する方法

法改正への対応を「毎年人力で確認する」という運用には限界がある。 実務的に有効なのは、以下のような自動化の仕組みを導入することだ。

対応可能な自動化の範囲

1. 安全書類の記載チェック KY活動記録、ヒヤリハット報告、作業許可証などの書類が最新の法的要件を満たしているかをAIが確認する。 たとえば、2025年改正以降は一人親方の作業参加記録への記載が必要になるが、これを手動でチェックするのは手間がかかる。 AIによる自動チェックで、入力漏れや不備を即時に検出できる。

2. 対象物質の義務判定 取り扱い化学物質のリストを入力すると、最新の義務対象物質データベースと照合し、ラベル表示・SDS整備が必要な物質を特定する。 2025年以降、義務対象物質は継続的に更新されるため、都度の確認は不可欠だ。

3. 教育記録の管理と抜け漏れ通知 安全衛生教育の実施記録を一元管理し、未受講者や更新期限切れが近い教育項目をアラートで通知する。

4. 法改正情報のモニタリング 厚生労働省・労働基準監督署の公開情報を定期取得し、施行スケジュールの変更や省令改正を自動で検知する仕組みも構築可能だ。

導入時の注意点

AIによる法令チェックはあくまで「補助」である。 最終的な法的判断は、社内の安全衛生担当者や社会保険労務士・労働安全コンサルタントが行う必要がある。 AIの役割は、担当者が見落としやすい箇所を指摘し、確認の優先順位づけを支援することにある。

まとめ:複数年の改正を「計画的に」対応する

2025年から2026年以降にかけての安全衛生法改正のポイントを整理する。

  • 2025年4月施行:一人親方・他社労働者への保護措置義務化、化学物質の表示・通知対象物質の大幅追加(約2,300種)
  • 2026年4月施行:SDS通知義務のさらなる拡大・記載要件の変更
  • 2026年10月施行:個人ばく露測定の作業環境測定への組み込み、有資格者実施義務
  • 2028年5月まで施行:ストレスチェックの50人未満事業場への義務化

改正は単発ではなく、毎年・段階的に積み重なる。 対応が後手に回ると、行政指導や送検のリスクだけでなく、現場の安全水準低下につながる。 施行スケジュールを一覧化し、いつ・何を・誰が対応するかを今から計画しておくことが重要だ。2026年以降の改正内容を含めた最新の全体像については労安法改正2026年の最新情報も確認しておきたい。

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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。

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