現場コンパス

作業手順書の作り方|誰でも同じ品質で作業できる標準化のコツ

著者: GenbaCompass11
#作業手順書#SOP#標準作業手順書#業務標準化#マニュアル作成#品質管理

この記事でわかること(要約)

作業手順書(SOP)を作成することで、誰でも同じ品質で作業できる標準化が実現します。本記事では以下を解説します:

  • 作業手順書(SOP)の基本: マニュアルとの違い、作成メリット
  • 6ステップの作成手順: 対象作業の選定から展開・運用まで
  • 分かりやすいSOPのコツ: 写真・図・動画の活用、チェックボックスの活用
  • 改訂ルール: 版管理、変更履歴の記録方法
  • 関連ツール: 問題分析や安全管理の効率化との連携

作業手順書は「作って終わり」ではなく、現場で使われ、継続的に改善されてこそ価値があります。まずは1つの作業から始めてみましょう。


「人によって作業のやり方が違う」「ベテランがいないと仕事が回らない」

こんな悩みを抱えていないだろうか。

作業手順書(SOP)を整備すれば、誰が作業しても同じ品質・効率で仕事ができる。属人化を解消し、教育時間の短縮にもつながる。

この記事では、作業手順書(SOP)の作成方法を解説する。写真や図の効果的な使い方、改訂ルールの決め方まで紹介する。


作業手順書(SOP)とは

SOP(Standard Operating Procedures)は、作業や業務を進める際の手順を詳しく記載した指示書だ。日本語では「標準作業手順書」「標準操作手順書」と呼ばれる。

マニュアルとの違い

文書 範囲 内容
マニュアル 業務全体 概念、背景、関連知識を含む大枠の解説
SOP(作業手順書) 個別作業 具体的な手順をステップごとに詳細に記載

マニュアルは「なぜその作業が必要か」を理解するための文書。SOPは「どうやって作業するか」を示す実務的な指示書だ。

SOPを作成するメリット

品質の安定: 誰が作業しても同じ結果が得られる。作業者による品質のばらつきを防止。

教育時間の短縮: 新人でも手順書を見れば作業できる。OJTの時間を大幅に削減。

属人化の解消: ベテランの「暗黙知」を形式知化。特定の人に依存しない体制を構築。

ミスの防止: 手順を明確にすることで、抜け・漏れ・順序ミスを防止。

改善の基盤: 標準があるから改善できる。現状の手順を可視化することで改善点が明確になる。


SOP作成の6ステップ

作業手順書を作成する基本的な流れを紹介する。

ステップ1:対象作業を決める

すべての作業にSOPを作る必要はない。優先度をつけて取り組もう。

優先度が高い作業

  • ミスが起きやすい作業
  • 品質に直結する作業
  • 安全上のリスクがある作業
  • 頻繁に行う作業
  • 新人が担当する可能性がある作業

安全上のリスクが高い作業では、KY活動シート作成の効率化と組み合わせることで、より体系的な安全管理が可能になる。

ステップ2:目的と使用場面を明確にする

SOPを作る目的と、誰がいつ使うかを明確にする。

確認事項

  • このSOPは誰が使うのか(新人?全員?)
  • どの場面で使うのか(作業中?事前確認?)
  • 何を達成したいのか(品質安定?ミス防止?)

ステップ3:フォーマットを決める

SOPのフォーマットには主に2種類ある。

ステップ式: 作業手順を番号付きで順番に記載する形式。

  • 単純な作業に適している
  • 迷わず順番に進められる

フローチャート式: 条件分岐を含む形式。状況に応じた判断が必要な作業に適している。

  • 「Aの場合→手順X」「Bの場合→手順Y」
  • 複雑な作業や判断が必要な作業に適している

ステップ4:内容を作成する

実際に手順を書き出していく。

作成のポイント

  1. 実際の作業を観察する:現場で作業を見ながら手順を書き出す
  2. 熟練者と若手の両方に確認する:熟練者だけだと「暗黙の前提」を見落としがち
  3. 1ステップ1動作:「〇〇して、△△する」ではなく分けて書く
  4. 動詞で始める:「確認する」「取り付ける」「記録する」
  5. 具体的な数値を入れる:「しっかり締める」→「トルク30N・mで締める」

作業手順の標準化を進めると、ミスや不具合が発生した際に「標準からどう逸脱したか」が明確になる。ヒヤリハット報告の仕組みと組み合わせることで、問題発見から改善までのサイクルを回しやすくなる。

ステップ5:試験運用する

一部の現場・担当者で試してみる。

確認事項

  • 手順どおりに作業できるか
  • 分かりにくい部分はないか
  • 抜けている手順はないか
  • 時間はどのくらいかかるか

ステップ6:展開・運用する

修正を加えた上で、組織全体に展開する。

展開時のポイント

  • SOPの存在を周知する
  • 保管場所を決める(紙・共有フォルダ・システム)
  • 改訂ルールを決める
  • 定期的に見直す仕組みを作る

分かりやすいSOPを作るコツ

形骸化しない、実際に使われるSOPを作るためのコツを紹介する。

1. 情報量を最小限に

SOPは作業しながら見るもの。長すぎると読まれない。

良い例

3. ボルトを締める
   - 対角線順に締める
   - トルク:30N・m
   - 確認:ガタつきがないこと

悪い例

3. ボルトを締める際は、必ず対角線順に締めてください。
これは、片側から順番に締めると歪みが発生する可能性があるためです。
トルクは30N・mに設定してください。最後に手で揺すってガタつきがないことを確認します。

2. 写真・図を活用する

文字だけより、視覚情報を入れると分かりやすくなる。

効果的な写真の使い方

  • 正しい状態と間違った状態の比較
  • 部品の取り付け位置
  • 完了状態の見本
  • 注意が必要な箇所のクローズアップ

3. 動画を活用する

複雑な作業は動画が効果的。

動画のメリット

  • 動きを伴う作業が分かりやすい
  • 作業のスピード感が伝わる
  • 細かいコツが伝わりやすい

4. 重要な情報は目立たせる

安全上の注意点や品質に関わる重要事項は目立たせる。

表現例

  • ⚠️ 注意:〇〇すると故障の原因になる
  • ⛔ 禁止:〇〇は絶対に行わないこと
  • ✅ ポイント:〇〇すると効率的

5. チェックボックスを入れる

作業の抜け漏れ防止にチェックボックスが有効。

□ 1. 電源を切る
□ 2. カバーを外す
□ 3. フィルターを取り出す
□ 4. 新しいフィルターを取り付ける
□ 5. カバーを取り付ける
□ 6. 電源を入れて動作確認

SOP改訂のルール

SOPは作って終わりではない。継続的な更新が必要だ。

改訂が必要なタイミング

  • 設備や工具が変わったとき
  • 材料や部品が変わったとき
  • 問題が発生して手順を変更したとき
  • より良い方法が見つかったとき
  • 法令や規制が変わったとき

改訂ルールの例

項目 ルール
改訂頻度 最低年1回の定期見直し
改訂権限 現場リーダー以上が承認
版管理 版番号と改訂日を明記
変更履歴 変更箇所と理由を記録
周知方法 改訂時は関係者に通知

版管理の例

文書番号:SOP-001
文書名:〇〇組立作業手順書
版:Rev.3
改訂日:2025年1月15日
作成者:△△
承認者:□□

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よくある質問(FAQ)

Q1. 作業手順書はどの作業から作るべき?

A. 優先度が高いのは「ミスが起きやすい作業」「品質に直結する作業」「安全上のリスクがある作業」です。すべての作業にSOPを作る必要はありません。まずは影響が大きい作業から始め、段階的に範囲を広げることをおすすめします。

Q2. マニュアルとSOPの違いは?

A. マニュアルは業務全体の「なぜ」を理解するための文書、SOPは個別作業の「どうやって」を示す実務的な指示書です。SOPは作業しながら見るため、具体的な手順をステップごとに詳細に記載します。

Q3. SOPは誰が作成すべき?

A. 実際に作業をしている現場の担当者が中心になるべきです。ただし、熟練者だけだと「暗黙の前提」を見落としがちなので、若手や新人の意見も取り入れることが重要です。複数の視点を組み合わせることで、より実用的なSOPが作成できます。

Q4. SOPが現場で使われない場合はどうすれば?

A. 「情報量が多すぎる」「写真がない」「保管場所が分かりにくい」などが主な原因です。以下を見直しましょう:

  • 1ページ1作業に絞る
  • 写真・図を追加する
  • 現場からすぐアクセスできる場所に保管する
  • チェックボックスを入れて使いやすくする

Q5. SOPの改訂頻度はどのくらい?

A. 最低でも年1回の定期見直しを推奨します。また、設備・工具の変更、問題発生、より良い方法の発見など、必要に応じて随時改訂することが重要です。改訂履歴を記録し、変更箇所と理由を明確にしておきましょう。

Q6. 動画を使ったSOPのメリットは?

A. 動きを伴う複雑な作業では、静止画や文字だけでは伝えにくい「作業のスピード感」や「細かいコツ」を伝えられます。特に新人教育では、動画SOPが教育時間の大幅短縮につながります。


まとめ

作業手順書(SOP)は、業務の標準化と品質安定に欠かせないツールだ。

SOPのメリット

  • 品質の安定(誰がやっても同じ結果)
  • 教育時間の短縮
  • 属人化の解消
  • ミスの防止
  • 改善の基盤

SOP作成の6ステップ

  1. 対象作業を決める
  2. 目的と使用場面を明確にする
  3. フォーマットを決める
  4. 内容を作成する
  5. 試験運用する
  6. 展開・運用する

分かりやすいSOPのコツ

  • 情報量を最小限に
  • 写真・図・動画を活用
  • 重要な情報は目立たせる
  • チェックボックスを入れる

改訂ルール

  • 定期的な見直し
  • 版管理の徹底
  • 変更履歴の記録

SOPは「作って終わり」ではない。現場で使われ、継続的に改善されてこそ価値がある。まずは1つの作業から始めてみよう。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。