この記事でわかること(要約)
作業手順書(SOP)を作成することで、誰でも同じ品質で作業できる標準化が実現します。本記事では以下を解説します:
- 作業手順書(SOP)の基本: マニュアルとの違い、作成メリット
- 6ステップの作成手順: 対象作業の選定から展開・運用まで
- 分かりやすいSOPのコツ: 写真・図・動画の活用、チェックボックスの活用
- 改訂ルール: 版管理、変更履歴の記録方法
- 関連ツール: 問題分析や安全管理の効率化との連携
作業手順書は「作って終わり」ではなく、現場で使われ、継続的に改善されてこそ価値があります。まずは1つの作業から始めてみましょう。
「人によって作業のやり方が違う」「ベテランがいないと仕事が回らない」
こんな悩みを抱えていないだろうか。
作業手順書(SOP)を整備すれば、誰が作業しても同じ品質・効率で仕事ができる。属人化を解消し、教育時間の短縮にもつながる。
この記事では、作業手順書(SOP)の作成方法を解説する。写真や図の効果的な使い方、改訂ルールの決め方まで紹介する。
作業手順書(SOP)とは
SOP(Standard Operating Procedures)は、作業や業務を進める際の手順を詳しく記載した指示書だ。日本語では「標準作業手順書」「標準操作手順書」と呼ばれる。
マニュアルとの違い
| 文書 | 範囲 | 内容 |
|---|---|---|
| マニュアル | 業務全体 | 概念、背景、関連知識を含む大枠の解説 |
| SOP(作業手順書) | 個別作業 | 具体的な手順をステップごとに詳細に記載 |
マニュアルは「なぜその作業が必要か」を理解するための文書。SOPは「どうやって作業するか」を示す実務的な指示書だ。
SOPを作成するメリット
品質の安定: 誰が作業しても同じ結果が得られる。作業者による品質のばらつきを防止。
教育時間の短縮: 新人でも手順書を見れば作業できる。OJTの時間を大幅に削減。
属人化の解消: ベテランの「暗黙知」を形式知化。特定の人に依存しない体制を構築。
ミスの防止: 手順を明確にすることで、抜け・漏れ・順序ミスを防止。
改善の基盤: 標準があるから改善できる。現状の手順を可視化することで改善点が明確になる。
SOP作成の6ステップ
作業手順書を作成する基本的な流れを紹介する。
ステップ1:対象作業を決める
すべての作業にSOPを作る必要はない。優先度をつけて取り組もう。
優先度が高い作業:
- ミスが起きやすい作業
- 品質に直結する作業
- 安全上のリスクがある作業
- 頻繁に行う作業
- 新人が担当する可能性がある作業
安全上のリスクが高い作業では、KY活動シート作成の効率化と組み合わせることで、より体系的な安全管理が可能になる。
ステップ2:目的と使用場面を明確にする
SOPを作る目的と、誰がいつ使うかを明確にする。
確認事項:
- このSOPは誰が使うのか(新人?全員?)
- どの場面で使うのか(作業中?事前確認?)
- 何を達成したいのか(品質安定?ミス防止?)
ステップ3:フォーマットを決める
SOPのフォーマットには主に2種類ある。
ステップ式: 作業手順を番号付きで順番に記載する形式。
- 単純な作業に適している
- 迷わず順番に進められる
フローチャート式: 条件分岐を含む形式。状況に応じた判断が必要な作業に適している。
- 「Aの場合→手順X」「Bの場合→手順Y」
- 複雑な作業や判断が必要な作業に適している
ステップ4:内容を作成する
実際に手順を書き出していく。
作成のポイント:
- 実際の作業を観察する:現場で作業を見ながら手順を書き出す
- 熟練者と若手の両方に確認する:熟練者だけだと「暗黙の前提」を見落としがち
- 1ステップ1動作:「〇〇して、△△する」ではなく分けて書く
- 動詞で始める:「確認する」「取り付ける」「記録する」
- 具体的な数値を入れる:「しっかり締める」→「トルク30N・mで締める」
作業手順の標準化を進めると、ミスや不具合が発生した際に「標準からどう逸脱したか」が明確になる。ヒヤリハット報告の仕組みと組み合わせることで、問題発見から改善までのサイクルを回しやすくなる。
ステップ5:試験運用する
一部の現場・担当者で試してみる。
確認事項:
- 手順どおりに作業できるか
- 分かりにくい部分はないか
- 抜けている手順はないか
- 時間はどのくらいかかるか
ステップ6:展開・運用する
修正を加えた上で、組織全体に展開する。
展開時のポイント:
- SOPの存在を周知する
- 保管場所を決める(紙・共有フォルダ・システム)
- 改訂ルールを決める
- 定期的に見直す仕組みを作る
分かりやすいSOPを作るコツ
形骸化しない、実際に使われるSOPを作るためのコツを紹介する。
1. 情報量を最小限に
SOPは作業しながら見るもの。長すぎると読まれない。
良い例:
3. ボルトを締める
- 対角線順に締める
- トルク:30N・m
- 確認:ガタつきがないこと
悪い例:
3. ボルトを締める際は、必ず対角線順に締めてください。
これは、片側から順番に締めると歪みが発生する可能性があるためです。
トルクは30N・mに設定してください。最後に手で揺すってガタつきがないことを確認します。
2. 写真・図を活用する
文字だけより、視覚情報を入れると分かりやすくなる。
効果的な写真の使い方:
- 正しい状態と間違った状態の比較
- 部品の取り付け位置
- 完了状態の見本
- 注意が必要な箇所のクローズアップ
3. 動画を活用する
複雑な作業は動画が効果的。
動画のメリット:
- 動きを伴う作業が分かりやすい
- 作業のスピード感が伝わる
- 細かいコツが伝わりやすい
4. 重要な情報は目立たせる
安全上の注意点や品質に関わる重要事項は目立たせる。
表現例:
- ⚠️ 注意:〇〇すると故障の原因になる
- ⛔ 禁止:〇〇は絶対に行わないこと
- ✅ ポイント:〇〇すると効率的
5. チェックボックスを入れる
作業の抜け漏れ防止にチェックボックスが有効。
□ 1. 電源を切る
□ 2. カバーを外す
□ 3. フィルターを取り出す
□ 4. 新しいフィルターを取り付ける
□ 5. カバーを取り付ける
□ 6. 電源を入れて動作確認
SOP改訂のルール
SOPは作って終わりではない。継続的な更新が必要だ。
改訂が必要なタイミング
- 設備や工具が変わったとき
- 材料や部品が変わったとき
- 問題が発生して手順を変更したとき
- より良い方法が見つかったとき
- 法令や規制が変わったとき
改訂ルールの例
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 改訂頻度 | 最低年1回の定期見直し |
| 改訂権限 | 現場リーダー以上が承認 |
| 版管理 | 版番号と改訂日を明記 |
| 変更履歴 | 変更箇所と理由を記録 |
| 周知方法 | 改訂時は関係者に通知 |
版管理の例
文書番号:SOP-001
文書名:〇〇組立作業手順書
版:Rev.3
改訂日:2025年1月15日
作成者:△△
承認者:□□
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よくある質問(FAQ)
Q1. 作業手順書はどの作業から作るべき?
A. 優先度が高いのは「ミスが起きやすい作業」「品質に直結する作業」「安全上のリスクがある作業」です。すべての作業にSOPを作る必要はありません。まずは影響が大きい作業から始め、段階的に範囲を広げることをおすすめします。
Q2. マニュアルとSOPの違いは?
A. マニュアルは業務全体の「なぜ」を理解するための文書、SOPは個別作業の「どうやって」を示す実務的な指示書です。SOPは作業しながら見るため、具体的な手順をステップごとに詳細に記載します。
Q3. SOPは誰が作成すべき?
A. 実際に作業をしている現場の担当者が中心になるべきです。ただし、熟練者だけだと「暗黙の前提」を見落としがちなので、若手や新人の意見も取り入れることが重要です。複数の視点を組み合わせることで、より実用的なSOPが作成できます。
Q4. SOPが現場で使われない場合はどうすれば?
A. 「情報量が多すぎる」「写真がない」「保管場所が分かりにくい」などが主な原因です。以下を見直しましょう:
- 1ページ1作業に絞る
- 写真・図を追加する
- 現場からすぐアクセスできる場所に保管する
- チェックボックスを入れて使いやすくする
Q5. SOPの改訂頻度はどのくらい?
A. 最低でも年1回の定期見直しを推奨します。また、設備・工具の変更、問題発生、より良い方法の発見など、必要に応じて随時改訂することが重要です。改訂履歴を記録し、変更箇所と理由を明確にしておきましょう。
Q6. 動画を使ったSOPのメリットは?
A. 動きを伴う複雑な作業では、静止画や文字だけでは伝えにくい「作業のスピード感」や「細かいコツ」を伝えられます。特に新人教育では、動画SOPが教育時間の大幅短縮につながります。
まとめ
作業手順書(SOP)は、業務の標準化と品質安定に欠かせないツールだ。
SOPのメリット:
- 品質の安定(誰がやっても同じ結果)
- 教育時間の短縮
- 属人化の解消
- ミスの防止
- 改善の基盤
SOP作成の6ステップ:
- 対象作業を決める
- 目的と使用場面を明確にする
- フォーマットを決める
- 内容を作成する
- 試験運用する
- 展開・運用する
分かりやすいSOPのコツ:
- 情報量を最小限に
- 写真・図・動画を活用
- 重要な情報は目立たせる
- チェックボックスを入れる
改訂ルール:
- 定期的な見直し
- 版管理の徹底
- 変更履歴の記録
SOPは「作って終わり」ではない。現場で使われ、継続的に改善されてこそ価値がある。まずは1つの作業から始めてみよう。
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