業種別死亡災害746人の徹底分析【2024年労災統計】
2024年、日本の労働災害による死亡者数は746人(過去最少)。
しかし、その内訳を見ると、特定の業種に集中していることが分かります。
| 業種 | 死亡者数 | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 建設業 | 232人 | 31.1% | +4.0% |
| 製造業 | 142人 | 19.0% | +2.9% |
| 陸上貨物運送事業 | 108人 | 14.5% | -1.8% |
| 第三次産業 | 186人 | 24.9% | -7.2% |
| その他 | 78人 | 10.5% | - |
| 合計 | 746人 | 100% | -1.2% |
建設業・製造業・物流の3業種で全体の64.6%を占める。
この数字が意味するものは何でしょうか?
建設業:死亡災害ワースト1位の理由
建設業の死亡災害232人の内訳
事故型別:
- 墜落・転落: 116人(50.0%)← 最多
- 交通事故: 28人(12.1%)
- はさまれ・巻き込まれ: 24人(10.3%)
- 飛来・落下: 18人(7.8%)
- その他: 46人(19.8%)
建設業の構造的問題
問題1: 高齢化
- 55歳以上が35.4%(全産業平均31.0%)
- 高齢者の墜落リスクは若年者の3.6倍
問題2: 重層下請構造
- 元請→一次→二次→三次...と情報が劣化
- 安全教育が末端まで届かない
問題3: 小規模事業者の多さ
- 5人未満の事業者が60%超
- 安全投資の余裕がない
建設業の対策
- フルハーネス型安全帯の100%装着
- 足場の毎日点検
- 朝礼での安全唱和
- AI安全監視システムの導入
製造業:死亡災害142人の分析
製造業の死亡災害142人の内訳
事故型別:
- はさまれ・巻き込まれ: 48人(33.8%)← 最多
- 墜落・転落: 24人(16.9%)
- 交通事故: 18人(12.7%)
- 飛来・落下: 14人(9.9%)
- その他: 38人(26.7%)
製造業特有のリスク
リスク1: 機械設備との接触
- 回転体への巻き込まれ
- プレス機による挟まれ
- ロボットとの接触
リスク2: 化学物質
- 有害物質への曝露
- 爆発・火災リスク
リスク3: 重量物の取り扱い
- クレーン・フォークリフト事故
- 腰痛・転倒リスク
製造業の対策
- 機械の安全装置(インターロック)の確実な作動
- ロックアウト・タグアウトの徹底
- フォークリフトの接触事故防止
- 化学物質のリスクアセスメント
陸上貨物運送業:死亡災害108人の分析
物流業の死亡災害108人の内訳
事故型別:
- 交通事故(道路): 42人(38.9%)← 最多
- 墜落・転落: 28人(25.9%)
- はさまれ・巻き込まれ: 18人(16.7%)
- その他: 20人(18.5%)
物流業特有のリスク
リスク1: 長時間運転
- 疲労・居眠り運転
- 2024年問題による人手不足
リスク2: 荷役作業
- トラック荷台からの墜落
- フォークリフト事故
- 重量物の手作業
リスク3: 倉庫作業
- フォークリフトと歩行者の接触
- 荷崩れ・飛来・落下
物流業の対策
- 運行管理の徹底(連続運転時間の制限)
- 荷台作業時の安全帯装着
- フォークリフト通路と歩行者通路の分離
- デジタルタコグラフによる運転状況監視
第三次産業:死亡災害186人の特徴
第三次産業の内訳
第三次産業(サービス業)は業種が多岐にわたります。
- 小売業: 34人
- 飲食・宿泊業: 28人
- 医療・福祉: 42人
- 清掃・ビルメンテナンス: 24人
- その他: 58人
第三次産業の主なリスク
リスク1: 転倒(最多)
- 濡れた床での滑り
- 段差でのつまずき
- 階段での踏み外し
リスク2: 交通事故
- 営業車・配達車による事故
- 駐車場での事故
リスク3: 暴力・ハラスメント
- 顧客からの暴力
- 精神的ストレス
第三次産業の対策
- 転倒防止(床の滑り止め、段差解消)
- 安全運転教育
- カスタマーハラスメント対策
業種別対策の共通点
どの業種にも共通する対策があります。
共通対策1: リスクアセスメントの実施
- 危険源の特定
- リスクの評価(頻度×重大性)
- 対策の優先順位付け
共通対策2: 安全教育の徹底
- 新入社員教育(雇入れ時)
- 定期的な再教育(年1回以上)
- 危険体感教育(VR活用も)
共通対策3: ヒヤリハット活動
- 報告しやすい文化づくり
- 5Why分析で根本原因を追及
- 水平展開で再発防止
共通対策4: AI技術の活用
- 危険行動の自動検知
- 危険エリアへの侵入警告
- データ分析による予防
まとめ:業種特有のリスクを理解し、対策を講じる
2024年の死亡災害746人。そのうち64.6%が建設・製造・物流の3業種に集中しています。
それぞれの業種には、それぞれ特有のリスクがあります。
- 建設業 → 墜落・転落対策が最優先
- 製造業 → 機械への巻き込まれ対策
- 物流業 → 交通事故・荷役事故対策
- 第三次産業 → 転倒防止が鍵
**業種特有のリスクを理解し、科学的な対策を講じること。**それが、死亡災害ゼロへの第一歩です。