製造業 労災データ 2024年速報
製造業の労災死傷者27,194人
製造業の労災死傷者27,194人
2024年データで見る事故の実態
厚生労働省 速報値を徹底分析|現場で使える対策も解説
27,194
死傷者数(人/年)
6,377
はさまれ・巻き込まれ
20.0%
全産業に占める割合
製造業は、全産業の中で死傷者数が2番目に多い業種である。
厚生労働省が発表した2024年の速報データを見ると、「機械災害」「転倒」「動作の反動」による事故が依然として多発している。本記事では、最新データをもとに事故の傾向と、現場で実践できる対策を整理した。
厚生労働省が発表した2024年の速報データを見ると、「機械災害」「転倒」「動作の反動」による事故が依然として多発している。本記事では、最新データをもとに事故の傾向と、現場で実践できる対策を整理した。
📋 この記事でわかること
製造業の労災死傷者数推移
過去3年の推移を見ると、製造業の労災は依然として高水準で推移している。
| 年度 | 死傷者数 | 前年比 | 死亡者数 |
|---|---|---|---|
| 2022年(令和4年) | 26,694人 | — | 140人 |
| 2023年(令和5年) | 27,194人 | ▲1.9% | 138人 |
| 2024年速報(1-8月) | 13,299人 | — | 68人 |
⚠️ 注目すべきポイント
死亡者数は減少傾向にあるものの、休業4日以上の死傷者数は3年連続で増加。「重大ではないが労働者が負傷する事故」が増えている点に注意が必要である。
事故タイプ別ランキング
製造業における事故タイプ別の発生件数を見ると、「はさまれ・巻き込まれ」が6,377件で最多となっている。
| 順位 | 事故タイプ | 発生件数 | 主な発生状況 |
|---|---|---|---|
| 1位 | はさまれ・巻き込まれ | 6,377件 | プレス機、ベルトコンベア、ロール機 |
| 2位 | 転倒 | 5,823件 | 床面の濡れ、段差、整理整頓不備 |
| 3位 | 動作の反動・無理な動作 | 3,191件 | 重量物の持ち上げ、不自然な姿勢 |
| 4位 | 墜落・転落 | 2,870件 | 高所作業、はしご・脚立 |
| 5位 | 切れ・こすれ | 2,327件 | 刃物、金属エッジ、工具 |
🔧 「はさまれ・巻き込まれ」が多い理由
- 機械の安全カバーを外したまま作業
- 清掃・点検時に電源を切らない
- 「ちょっとだけ」の意識で安全手順を省略
- 古い設備に安全装置が未設置
出典:製造業の労働災害統計
月別発生傾向
月別の死亡事故発生件数を見ると、9月が17件で最多となっている。
9月に事故が集中する理由
- 夏季疲労の蓄積:7〜8月の猛暑による体力消耗が残っている
- 残暑による集中力低下:9月でも30度を超える日が多い
- 繁忙期の開始:下期スタートで生産量が増加
- 新人配置のタイミング:4月入社組が独り立ちし始める時期
💡 9月の安全対策強化ポイント
9月は「全国労働衛生週間」の準備月間でもある。この機会に安全点検を強化し、従業員の疲労度チェックを実施することが推奨される。
業種別の特徴
製造業の中でも、業種によって事故の傾向が異なる。
| 業種 | 多い事故タイプ | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 食品製造業 | はさまれ、転倒、火傷 | 床面が濡れやすい、高温機器が多い |
| 金属製品製造業 | 切れ・こすれ、巻き込まれ | プレス機、研削盤での事故が多発 |
| 輸送用機械製造業 | はさまれ、墜落・転落 | 大型設備、高所作業が多い |
| 化学工業 | 薬傷、爆発、火災 | 危険物取扱、換気設備が重要 |
現場で実践できる5つの対策
1. 機械の安全装置を徹底運用
「はさまれ・巻き込まれ」を防ぐ最も効果的な方法は、安全装置の確実な運用である。
- インターロック機構:カバーを開けると自動停止
- 両手操作式:両手がボタンにある間だけ動作
- 光線式安全装置:センサーが遮られると停止
- ロックアウト・タグアウト:点検時の電源遮断を徹底
2. 5S活動の徹底(転倒防止)
転倒事故の多くは、整理整頓の不備が原因である。
✅ 転倒防止の5Sチェックリスト
- 通路に物が置かれていないか
- 床面の油汚れ、水濡れはないか
- 段差に注意喚起の表示があるか
- 照明は十分か(暗所がないか)
- 滑り止めマットは適切に配置されているか
3. KY(危険予知)活動の実施
作業開始前に「今日の作業で起こりうる危険」を全員で確認する。
- 朝礼時に5分間のKYミーティング
- 「〇〇なので、△△して□□する」の形式で対策を宣言
- 指差呼称の徹底
4. リスクアセスメントの定期実施
設備や作業の危険性を事前に評価し、優先度をつけて対策を実施する。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 危険性の特定 | 作業・設備ごとに潜在的な危険を洗い出す |
| リスクの見積もり | 発生確率×重篤度でスコア化 |
| 優先順位の決定 | スコアの高い順に対策を実施 |
| 対策の実施 | 本質的対策 → 工学的対策 → 管理的対策 → 保護具 |
5. 安全教育の継続実施
新人教育だけでなく、ベテラン作業者への再教育も重要である。
- 雇入れ時教育:法定の安全衛生教育
- 職長教育:監督者向けの安全管理教育
- 特別教育:クレーン、フォークリフト等の資格取得
- 定期再教育:年1回以上の安全意識向上研修
第14次労働災害防止計画の目標
厚生労働省は「第14次労働災害防止計画」(令和5〜9年度)で、以下の目標を掲げている。
🎯 製造業に関する目標
- 機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数を5%以上減少(令和4年比)
- 転倒災害の死傷者数を5%以上減少
- 高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
この目標を達成するためには、各事業所での地道な安全活動の積み重ねが不可欠である。
📌 この記事のまとめ
- 製造業の労災死傷者数は27,194人(令和5年)で、全産業の20%を占める
- 最多の事故タイプは「はさまれ・巻き込まれ」で6,377件
- 9月が死亡事故最多:夏季疲労と残暑が影響
- 対策の基本は5S、KY活動、安全装置の徹底にある
- 第14次計画では機械災害5%以上減少が目標