労働災害データ徹底分析
2024年の建設業・製造業の実態と対策
厚生労働省データで見る事故の傾向と、現場でできる対策
2024年、建設業の死亡者が再び増加
2025年1月、厚生労働省が2024年の労働災害発生状況(速報値)を公表しました。
🚨 建設業の死亡者数は218人
前年から19人増加しています。
2023年に大幅に減少した死亡者数が、再び増加に転じた形です。
一方、休業4日以上の死傷者数は12,775人で、前年から548人減少しました。
「死亡は増えたが、軽傷は減った」
この数字をどう読み解けばいいのでしょうか。本記事では、労働災害データを分析し、現場で実践できる対策を考えます。
2024年労働災害の概況
全産業の状況
全産業で見ると、死亡者数は微減、死傷者数も微減となっています。
業種別死亡者数
建設業だけが増加しているのが特徴的です。
過去5年間の推移
建設業の死亡者数は長期的には減少傾向にありますが、2024年は反転しました。
| 年 | 死亡者数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2020年 | 258人 | - |
| 2021年 | 288人 | +30人 |
| 2022年 | 281人 | ▲7人 |
| 2023年 | 223人 | ▲58人(過去最少に近い) |
| 2024年 | 218人(速報値)🚨 | +19人 |
⚠️ 注意:2024年の数値は速報値であり、確定値では変動する可能性があります。
事故タイプ別の分析
建設業の事故タイプ別死亡者数
建設業の死亡事故で最も多いのは「墜落・転落」です。
墜落・転落
主な発生状況:足場、屋根、はしごからの落下
交通事故(道路)
主な発生状況:現場への移動中
挟まれ・巻き込まれ
主な発生状況:重機との接触
飛来・落下
主な発生状況:資材、工具の落下
崩壊・倒壊
主な発生状況:土砂崩壊、構造物の倒壊
その他
主な発生状況:感電、熱中症など
🔍 重要な事実:安全帯の未使用問題
建設業労働災害防止協会のデータによると、墜落事故の56%は、安全帯を「装着していたが使用していなかった」ケースです。
つまり、設備の問題ではなく、運用面の課題が大きいということです。
製造業の事故タイプ別死傷者数
製造業で最も多いのは「はさまれ・巻き込まれ」です。
はさまれ・巻き込まれ
主な発生状況:プレス機、ベルトコンベア
転倒
主な発生状況:床面の濡れ、段差
動作の反動・無理な動作
主な発生状況:重量物の持ち上げ
墜落・転落
主な発生状況:高所作業、はしご
切れ・こすれ
主な発生状況:刃物、金属エッジ
熱中症データ(2024年)
2024年の熱中症データは、特に注目すべき結果となりました。
🚨 全産業で過去最多を更新
建設業は業種別で死亡者数が最多です。
全産業
建設業
熱中症発生の特徴
- 死亡者31人のうち、30人が7〜8月に発生
- 「作業後型」の熱中症も増加(作業中は症状が出ず、帰宅後に重篤化)🚨
- 暑熱順化が不十分な時期(梅雨明け直後)に集中
高齢化と労働災害の関係
建設業の高齢化は、労働災害リスクにも影響を与えています。
建設業就業者の年齢構成
労災データでは、60歳以上の死傷者が全体の約4分の1を占めています。
高齢者に多い事故タイプ
- 転倒:バランスを崩しての事故
- 動作の反動:腰痛、筋肉痛などの身体負担
- 墜落・転落:高所でのバランス喪失
現場でできる対策
データを踏まえ、優先度の高い対策を整理しました。
🏗️ 墜落・転落対策(建設業最優先)
安全帯の「未使用」が最大の問題です。装着だけでなく、使用を徹底させる仕組みが必要です。
具体的な対策
- 朝礼でのフック掛け確認(全員で指差し呼称)
- 親綱の先行設置(作業前に必ず設置)
- 相互声かけの徹底(「フック掛けた?」を習慣化)
- 開口部の養生確認(養生シートは固定する)
🌡️ 熱中症対策(7〜8月集中対策)
死亡者の97%が7〜8月に発生しています。この期間の対策強化が重要です。
具体的な対策
- WBGT値のチェック(28℃以上で厳重警戒)
- 20〜30分ごとの水分・塩分補給の声かけ
- 暑熱順化期間の確保(梅雨明け前から徐々に体を慣らす)
- 作業後の体調確認(帰宅後の発症リスクに注意)🚨
⚙️ 機械災害対策(製造業最優先)
「はさまれ・巻き込まれ」が製造業で最多です。
具体的な対策
- 安全カバーの確実な設置(外したら作業禁止)
- ロックアウト・タグアウトの徹底(清掃・点検時の電源遮断)
- 両手操作式、光線式安全装置の導入
- 始業前点検の徹底
👴 高齢者対策
60歳以上の労災が増加傾向にあります。
具体的な対策
- 作業内容と体力のマッチング(適材適所の配置)
- こまめな休憩時間の確保
- 滑りにくい床材・十分な照明の設置
- 若手とのペア作業体制の導入
第14次労働災害防止計画の目標
厚生労働省は「第14次労働災害防止計画」(令和5〜9年度)で、以下の目標を掲げています。
📋 主要目標
墜落・転落による死亡者数を15%以上減少(令和4年比)
機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数を5%以上減少
転倒災害の死傷者数を5%以上減少
高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
まとめ
- 2024年の建設業死亡者数は218人(速報値)、前年比19人増で再び増加
- 建設業の死亡事故は「墜落・転落」が約3割を占め最多
- 墜落事故の56%は安全帯を装着していたが使用していなかったケース
- 製造業は「はさまれ・巻き込まれ」が6,400件で最多
- 熱中症は過去最多を更新、7〜8月に集中
- 60歳以上の労災が全体の約25%を占める
労働災害は、適切な対策を講じることで防ぐことができます。特に「安全帯の使用徹底」「熱中症の7〜8月対策」「機械の安全装置確認」は、すぐに実践できる重要な対策です。
まずは朝礼でこれらのデータを共有し、現場全体の安全意識向上につなげてください。
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