建設業の労働災害統計2024|死亡事故232人の内訳とデータ活用法
2024年の建設業労働災害データを徹底分析。死亡者232人の事故類型別内訳、墜落・転落が3割を占める実態、50歳以上が55%という年齢構成まで。データに基づく安全対策を解説。
「うちの現場は大丈夫」
そう思っていないだろうか。
厚生労働省の発表によると、2024年(令和6年)の建設業における死亡者数は232人。全産業の31.1%を占め、業種別で最多だ。
建設業の労働者数は全産業の約10%。それなのに、死亡災害の約3分の1を占めている。この数字の重さを、現場に携わるすべての人に知ってほしい。
今回は、最新の労働災害統計データをもとに、建設業の安全対策を考える。
2024年の建設業労働災害:数字で見る現実
まず、直近のデータを確認しよう。
死亡者数232人の内訳
建設業労働災害防止協会(建災防)が公表しているデータによると、2024年の建設業死亡者数232人の事故類型別内訳は以下のとおりだ。
| 事故の型 | 死亡者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 墜落・転落 | 77人 | 33.2% |
| 交通事故(道路) | 約35人 | 約15% |
| はさまれ・巻き込まれ | 約30人 | 約13% |
| 崩壊・倒壊 | 約25人 | 約11% |
| その他 | 約65人 | 約28% |
墜落・転落だけで3分の1を占めている。
これは毎年変わらない傾向だ。足場からの転落、屋根からの墜落——高所作業が多い建設業ならではのリスクが、この数字に表れている。
一人親方等を含めると実態はさらに深刻
上記の232人は、労災保険の適用対象となる労働者の数だ。
日本工業経済新聞によると、労働災害統計に含まれない「一人親方など」の2024年死亡者数は57人。
そのうち68.4%にあたる39人が墜落・転落で亡くなっている。
つまり、一人親方を含めた建設業の実質的な死亡者数は289人以上。そして墜落・転落が圧倒的な死因であることに変わりはない。
過去5年間の推移
2024年単年だけでなく、推移も確認しておこう。
建設業の死亡者数推移
| 年 | 死亡者数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2020年 | 258人 | - |
| 2021年 | 288人 | +11.6% |
| 2022年 | 281人 | -2.4% |
| 2023年 | 223人 | -20.6% |
| 2024年 | 232人 | +4.0% |
厚生労働省の発表によると、2023年は過去最少の223人まで減少した。しかし2024年は再び増加に転じている。
一進一退を繰り返しているのが現状だ。政府は第14次労働災害防止計画で「令和9年までに死亡災害15%以上減少」を目標に掲げているが、達成は容易ではない。
死傷者数(休業4日以上)
死亡に至らなくても、休業を伴う災害は深刻だ。
2024年の建設業における休業4日以上の死傷者数は12,775人(前年比548人減)。
1日あたり約35人が労災で休業している計算になる。
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墜落・転落災害の詳細分析
死亡災害の3割を占める墜落・転落について、さらに詳しく見てみよう。
どこから落ちているのか
全国仮設安全事業協同組合(ACCESS)のデータによると、墜落・転落の発生箇所は以下のとおりだ。
| 発生箇所 | 割合 |
|---|---|
| 屋根・屋上等の端・開口部 | 約30% |
| 足場 | 約20% |
| はしご・脚立 | 約15% |
| 建築物・構築物 | 約10% |
| その他 | 約25% |
「足場から」の事故を高さ別に見ると、
- 0〜2m未満: 21.4%
- 2〜5m未満: 28.6%
意外かもしれないが、5m未満の比較的低い場所からの転落が半数を占めている。
「高いところは気をつけるけど、低いところは油断する」——この心理が事故につながっている可能性がある。
50歳以上が過半数
厚生労働省・国土交通省の資料によると、建設業の死亡災害における年齢構成は以下のとおりだ。
| 年齢層 | 死傷災害の割合 | 死亡災害の割合 |
|---|---|---|
| 50歳未満 | 56.5% | 44.4% |
| 50歳以上 | 43.5% | 55.6% |
死亡災害の半数以上が50歳以上の高年齢労働者で発生している。
高年齢労働者は経験豊富だが、身体能力の低下によりバランスを崩しやすい、とっさの対応が遅れるといったリスクがある。
東京労働局管内のデータでは、50歳以上の死傷災害のうち墜落災害が41.3%を占めている。
ハインリッヒの法則から考える
ここまでのデータを、ハインリッヒの法則で考えてみよう。
1:29:300の意味
カオナビ人事用語集の解説によると、ハインリッヒの法則とは以下のとおりだ。
1件の重大事故の背景には、29件の軽微な事故と、300件の異常(ヒヤリハット)がある
2024年の建設業死亡者232人をこの法則に当てはめると、
- 重大事故: 232件
- 軽微な事故: 232 × 29 = 6,728件
- ヒヤリハット: 232 × 300 = 69,600件
つまり、2024年の建設業では約7万件のヒヤリハットが発生していた可能性がある。
300を拾えるかどうか
この7万件のヒヤリハットをどれだけ収集し、分析し、対策につなげられるか。
それが重大事故を減らすカギになる。
国土交通省も、専門工事業団体を通じてヒヤリ・ハット体験事例を収集し、データベースを構築する取り組みを進めている。
しかし現場レベルでは、まだまだ報告が集まっていないのが実態だ。
データを活用した安全対策
統計データを「知っているだけ」では意味がない。具体的な対策につなげることが重要だ。
対策1:高リスク作業を特定する
自社の過去のヒヤリハットデータを分析し、どの作業でリスクが高いかを特定する。
統計データから見えてくる優先順位は、
- 墜落・転落対策(特に5m未満の作業)
- 交通事故対策(現場への移動中含む)
- はさまれ・巻き込まれ対策
「うちの現場でも墜落のヒヤリが多い」というデータがあれば、手すりの設置、安全帯の使用徹底、昇降設備の改善などに優先的に投資できる。
対策2:年齢構成を考慮する
50歳以上の死亡災害が過半数を占めている事実を踏まえると、
- 高年齢労働者への重点教育
- 身体能力に応じた作業配置
- 転倒・墜落しにくい作業環境の整備
が重要になる。
「ベテランだから大丈夫」ではなく、「ベテランだからこそ気をつける」という意識を共有したい。
対策3:低い場所こそ注意を促す
5m未満の墜落事故が半数を占めているデータは、意外性がある。
「低いところは大丈夫」という油断を戒めるため、
- 脚立・はしご使用時のルール徹底
- 2m以上の作業でも安全帯使用を推奨
- 作業前のKY(危険予知)活動で「低所墜落」を意識
といった対策が有効だ。
対策4:ヒヤリハットの収集を仕組み化する
最も重要なのは、ヒヤリハットを継続的に収集し、分析する仕組みを作ることだ。
紙の報告書だと集計に時間がかかり、傾向分析がおろそかになる。
安全ポスト+のようなデジタルツールを使えば、
- 報告がリアルタイムで集まる
- AIが4M分類を自動で行う
- ダッシュボードで傾向が一目瞭然
担当者の負担を減らしながら、データに基づいた対策が打てるようになる。
まとめ:データは対策のためにある
2024年の建設業労働災害データをまとめると、
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 死亡者数 | 232人(全産業の31.1%) |
| 墜落・転落の割合 | 33.2%(77人) |
| 50歳以上の死亡災害 | 55.6% |
| 5m未満からの墜落 | 約50% |
| 一人親方含む死亡者数 | 289人以上 |
この数字を見て、「他人事」と思うか、「自分ごと」と捉えるか。
ハインリッヒの法則に従えば、232件の死亡事故の背後には約7万件のヒヤリハットがあったはずだ。その7万件をどれだけ拾い上げ、対策につなげられるかが、次の事故を防ぐカギになる。
安全ポスト+は、現場の「危なかった」を30秒で収集し、AIが自動分類するサービスだ。匿名で報告できるから、心理的なハードルも低い。
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現場改善に役立つ関連アプリ
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| アプリ名 | 概要 | こんな課題に |
|---|---|---|
| WhyTrace | AIで「なぜなぜ分析」を効率化 | 事故の根本原因を特定したい |
| KnowHowAI | ベテランのノウハウをAIで継承 | 高年齢労働者の知見を残したい |
| PlantEar | スマホで設備の異音を診断 | 設備起因の事故を防ぎたい |
| IdeaLoop | 現場改善アイデアをAIで進化 | 安全対策のアイデアを集めたい |
| QuizTrace | AIが安全教育クイズを自動生成 | 統計データを教育に活かしたい |
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