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是正処置・予防処置の違いと書き方|ISO9001の記入例つき

著者: GenbaCompass8
#是正処置#予防処置#ISO9001#品質管理#不適合#リスク管理#再発防止

「是正処置と予防処置、どう違うの?」

ISO9001の品質管理で頻繁に登場するこの2つの用語。似ているようで、目的とタイミングがまったく異なる。

この記事では、是正処置と予防処置の違いをISO9001の観点から解説する。具体的な手順と記録の書き方も紹介する。


是正処置と予防処置の違い

まず、2つの処置の違いを明確にしよう。

基本的な違い

項目 是正処置 予防処置
タイミング 問題発生 問題発生
目的 再発防止(同じ問題を繰り返さない) 未然防止(問題を起こさない)
対象 発生した不適合 潜在的なリスク
アプローチ 原因究明 → 対策 リスク評価 → 事前対策

具体例で理解する

是正処置の例: 製品に不良が発生した → 原因を調査したら、設備の調整不足だった → 調整手順を見直し、チェックリストを作成した

予防処置の例: 類似工程で同じ設備を使っている → 同様の不良が発生するリスクがある → 事前に調整手順とチェックリストを導入した

「起きてから直す」のが是正処置、「起きる前に防ぐ」のが予防処置だ。


修正・是正処置・予防処置の関係

「修正」と「是正処置」も混同しやすい。3つの違いを整理しよう。

3つの処置の違い

処置 内容
修正(応急処置) 発生した不適合そのものに対処 不良品を廃棄する、手直しする
是正処置(恒久対策) 再発防止のため原因を除去 作業手順を改訂する、設備を修理する
予防処置(未然防止) 潜在的な問題を事前に防ぐ リスクを評価し、事前対策を講じる

3つの処置の流れ

  1. 修正:まず目の前の問題に対処する(応急処置)
  2. 是正処置:原因を究明し、再発を防止する(恒久対策)
  3. 予防処置:類似問題が発生しないよう、事前に手を打つ(未然防止)

修正だけで終わると、同じ問題が繰り返される。是正処置まで行うことが重要だ。


ISO9001:2015での位置づけ

ISO9001:2015では、是正処置と予防処置の扱いが変わった。

是正処置(10.2項)

ISO9001:2015では、是正処置は**10.2項「不適合及び是正処置」**に規定されている。

要求事項の要点

  1. 不適合が発生したら、その不適合に対処する(修正)
  2. 不適合の原因を特定し、除去するための処置をとる(是正処置)
  3. 是正処置の有効性をレビューする
  4. 必要に応じて、品質マネジメントシステムを変更する
  5. 是正処置の記録を保持する

予防処置(リスク及び機会)

ISO9001:2015では、「予防処置」という条項はなくなった。

代わりに、**6.1項「リスク及び機会への取組み」**として、予防的な考え方が組み込まれた。

要求事項の要点

  1. リスクと機会を特定する
  2. リスクを最小化し、機会を活用する計画を策定する
  3. 計画を実施し、有効性を評価する

つまり、予防処置は「リスク管理」の一部として、日常業務に組み込むことが求められている。


是正処置の進め方

是正処置を効果的に進めるための手順を紹介する。

是正処置の5ステップ

ステップ1:不適合の特定と記録

  • 何が起きたか(事実)を明確にする
  • 発生日時、場所、関係者を記録する
  • 不良品の数量、影響範囲を把握する

ステップ2:応急処置(修正)

  • 不良品の隔離・廃棄
  • 出荷停止、回収の判断
  • 顧客への連絡

ステップ3:原因分析

  • なぜなぜ分析(5Why)で根本原因を特定
  • 発生原因(なぜ不良が発生したか)
  • 流出原因(なぜ不良が流出したか)

ステップ4:是正処置の実施

  • 発生原因への対策(工程の改善)
  • 流出原因への対策(検査の強化)
  • 作業手順書・チェックリストの改訂

ステップ5:有効性の確認

  • 対策後に同じ不良が発生していないか確認
  • 一定期間モニタリングする
  • 効果がなければ追加対策を検討

是正処置報告書の記入例

【不適合内容】
製品Aのネジ締め付けトルク不足により、客先で部品脱落が発生

【発生日】2025年1月10日
【発生場所】組立ライン2号機
【影響】出荷済み製品100個(ロット番号:25010)

【応急処置】
・出荷済み製品の回収・交換
・在庫品の全数検査

【原因分析】
・発生原因:トルクレンチの校正期限切れにより、規定トルクが出ていなかった
・流出原因:完成品検査でトルク確認項目が抜けていた

【是正処置】
・発生対策:トルクレンチの校正管理表を作成し、期限管理を徹底
・流出対策:完成品検査チェックリストにトルク確認項目を追加

【有効性確認】
・2025年2月10日まで同一不良の再発なし → 対策有効

予防処置(リスク管理)の進め方

ISO9001:2015では、予防処置はリスク管理として行う。

リスク管理の4ステップ

ステップ1:リスクの特定

  • 過去の不適合データを分析
  • 類似工程・類似製品のリスクを洗い出す
  • ヒヤリハット情報を収集

ステップ2:リスクの評価

  • 発生確率と影響度を評価
  • 優先順位をつける
  • 対策が必要なリスクを決定

ステップ3:対策の計画と実施

  • リスクを低減する対策を計画
  • 担当者と期限を決める
  • 対策を実施する

ステップ4:有効性の確認

  • 対策後のリスクを再評価
  • 問題が発生していないか確認
  • 必要に応じて追加対策

予防処置の具体例

例1:新製品の立ち上げ 過去の類似製品で発生した不良を分析し、新製品の製造工程に事前対策を組み込む

例2:設備の導入 過去のトラブル事例を参考に、新設備の保全計画を策定する

例3:季節変動への対応 夏季に発生しやすい不良(温度・湿度の影響)を事前に把握し、対策を講じる


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まとめ

是正処置と予防処置は、品質管理の両輪だ。

是正処置と予防処置の違い

  • 是正処置:問題発生に再発を防止
  • 予防処置:問題発生に未然に防止

ISO9001:2015での位置づけ

  • 是正処置:10.2項で規定
  • 予防処置:6.1項「リスク及び機会」に統合

是正処置の5ステップ

  1. 不適合の特定と記録
  2. 応急処置(修正)
  3. 原因分析
  4. 是正処置の実施
  5. 有効性の確認

予防処置(リスク管理)の4ステップ

  1. リスクの特定
  2. リスクの評価
  3. 対策の計画と実施
  4. 有効性の確認

是正処置だけでは「モグラ叩き」になりがちだ。予防処置(リスク管理)を組み合わせて、問題を未然に防ぐ体制を構築しよう。


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國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。