「対策書を出したのに、また同じクレームが来た…」
不具合対策書を書いても、再発が止まらない。形だけの対策書になっていないだろうか。
不具合対策書は、単なる報告書ではない。問題の根本原因を突き止め、再発を防ぐための重要なドキュメントだ。
この記事では、再発防止につながる不具合対策書の書き方と、自動車業界で広く使われる「8Dレポート」の進め方を解説する。
不具合対策書とは
不具合対策書は、発生した品質問題に対して、原因分析と対策を記録するドキュメントだ。
不具合対策書の目的
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 原因の明確化 | なぜ問題が発生したかを特定 |
| 対策の記録 | どんな対策を実施したかを文書化 |
| 再発防止 | 同じ問題を二度と起こさない |
| 顧客への報告 | 取引先に対策内容を報告 |
| 知識の蓄積 | 組織の改善ノウハウとして蓄積 |
対策書が形骸化する原因
多くの対策書が形だけになる原因は以下の通りだ。
1. 原因分析が浅い 表面的な原因しか分析せず、根本原因に到達していない。
2. 対策が抽象的 「注意する」「確認を徹底する」など、具体性がない。
3. 効果確認をしない 対策を実施しただけで、効果を検証していない。
4. 横展開しない 類似の問題が他でも起きる可能性を考慮していない。
8Dレポートとは
8Dレポートは、フォード社が開発した問題解決手法だ。「D」はDisciplines(規律)の頭文字。8つのステップで問題を解決する。
8Dの9ステップ
| ステップ | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| D0 | 計画 | 8Dを実施する前の準備 |
| D1 | チーム結成 | 問題解決チームを編成 |
| D2 | 問題の明確化 | 問題を具体的に定義 |
| D3 | 暫定対策 | 問題の拡大を防ぐ応急処置 |
| D4 | 根本原因分析 | 発生原因と流出原因を特定 |
| D5 | 是正処置 | 根本原因を除去する恒久対策 |
| D6 | 効果確認 | 対策の効果を検証 |
| D7 | 再発防止 | 他工程への横展開 |
| D8 | チームの賞賛 | 活動の完了とチームへの感謝 |
8Dレポートのメリット
体系的なアプローチ: ステップに沿って進めることで、漏れのない分析ができる。
根本原因に到達: 表面的な対策ではなく、真の原因を突き止める。
再発防止: 一過性の対策ではなく、恒久的な改善につながる。
国際的に認知: 自動車業界をはじめ、世界中で使われている手法。
不具合対策書の書き方
実際の対策書に記載すべき項目と、書き方のポイントを解説する。
基本的な記載項目
1. 問題の概要
- 発生日時
- 発生場所・工程
- 不具合の内容
- 影響範囲(ロット数、出荷先など)
2. 原因分析
- 発生原因(なぜ不具合が起きたか)
- 流出原因(なぜ検出できなかったか)
- なぜなぜ分析の結果
3. 対策内容
- 暫定対策(応急処置)
- 恒久対策(根本的な対策)
- 実施日・責任者
4. 効果確認
- 対策の効果を検証した結果
- 検証方法と判定基準
5. 横展開
- 類似工程への展開
- 標準書類への反映
発生原因と流出原因
不具合には「発生原因」と「流出原因」の2つがある。
発生原因:不具合が発生した根本的な理由 例:刃物の摩耗により寸法がずれた
流出原因:不具合が検出されず流出した理由 例:検査基準が曖昧で見落とした
両方を分析しないと、再発は防げない。
効果的な原因分析
原因分析には、いくつかの手法がある。
なぜなぜ分析(5Why)
問題に対して「なぜ?」を繰り返し、根本原因に到達する手法。
例:
- 問題:寸法不良が発生した
- なぜ1:加工時に寸法がずれた
- なぜ2:刃物が摩耗していた
- なぜ3:交換基準が曖昧だった
- なぜ4:作業者任せになっていた
- なぜ5:刃物管理ルールがなかった
ポイント:
- 「人のミス」で止まらない
- 仕組みの問題に到達するまで掘り下げる
特性要因図(フィッシュボーン)
問題に影響する要因を4Mの観点で整理する。
- Man(人):作業者のスキル、教育
- Machine(設備):機械、治具の状態
- Material(材料):原材料、部品の品質
- Method(方法):作業手順、基準
FTA(故障の木分析)
不具合を頂上に置き、原因をツリー状に展開する手法。
複雑な問題で、原因が複合的に絡み合っている場合に有効。
対策の書き方
対策は「暫定対策」と「恒久対策」に分けて書く。
暫定対策
問題の拡大を防ぐための応急処置。
例:
- 在庫品の全数選別
- 出荷停止
- 工程内での追加検査
ポイント:
- すぐに実施できること
- 問題の波及を止めること
恒久対策
根本原因を除去するための本格的な対策。
例:
- 刃物交換基準を数値化(加工数500個ごと)
- 自動検査装置の導入
- 作業標準書の改訂
ポイント:
- 人の注意力に頼らない
- 仕組みで防ぐ対策
- 再現性があること
対策のNG例とOK例
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| 注意する | チェックリストで確認する |
| 確認を徹底する | ダブルチェック体制を導入する |
| 教育する | 教育内容と頻度を基準化する |
| 気をつける | ポカヨケ装置を設置する |
効果確認と横展開
対策を実施したら、必ず効果を確認する。
効果確認の方法
定量的な確認:
- 不良率の推移
- クレーム件数の変化
- 工程能力指数(Cpk)
定性的な確認:
- 作業者へのヒアリング
- 現場パトロールでの確認
横展開
同じ問題が他でも起きないよう、横展開を行う。
横展開の対象:
- 類似工程
- 類似製品
- 他の生産拠点
横展開の方法:
- FMEAへのリスク追加
- 作業標準書への反映
- 教育資料への組み込み
📱 原因分析を効率化するアプリ
紙のフォーマットで対策書を作ると、原因分析が曖昧になりがちだ。
「WhyTrace」は、5Why分析をスマホで簡単に記録・管理できるアプリ。ステップに沿って「なぜ」を入力するだけで、論理的な原因分析ができる。過去の分析結果も検索できるので、類似問題の対策にも活用できる。
まとめ
不具合対策書は、再発防止のための重要なドキュメントだ。
8Dレポートの流れ:
- チーム結成
- 問題の明確化
- 暫定対策
- 根本原因分析
- 是正処置
- 効果確認
- 再発防止・横展開
対策書のポイント:
- 発生原因と流出原因の両方を分析
- 「人のミス」で止まらず、仕組みの問題まで掘り下げる
- 暫定対策と恒久対策を分けて記載
- 効果確認と横展開を忘れない
対策の書き方:
- 「注意する」ではなく具体的な行動
- 人の注意力に頼らない仕組みで対策
- 実施日・責任者を明記
形だけの対策書では、同じ問題は繰り返される。根本原因を突き止め、仕組みで防ぐ対策を立てることが、真の再発防止につながる。
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| アプリ名 | 概要 | こんな課題に |
|---|---|---|
| WhyTrace | 5Why分析で根本原因を究明 | 同じ問題が繰り返される |
| 安全ポスト+ | QRコードで簡単報告、AI自動4M分析 | ヒヤリハット報告が少ない |
| AnzenAI | KY活動記録・安全書類作成を効率化 | 安全書類の作成に時間がかかる |
| PlantEar | 設備異音検知AIで予兆保全 | 設備の突発故障を防ぎたい |
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