現場コンパス

特性要因図(フィッシュボーン図)の書き方|4M・6Mの作成手順

著者: WhyTrace Connect編集部14品質管理
#フィッシュボーン#特性要因図#フィッシュボーン 要因分析#特性要因図 書き方#4M分析#6M分析#石川ダイアグラム#品質管理#要因分析#不良品分析

なぜなぜ分析 AI体験ツール

事象を入力するだけで、AIが原因を自動分析

業界別のサンプル事象を選ぶか、自由に入力してください。

または
Powered by WhyTrace PlusWhyTrace Plusとは?

「特性要因図を書こうとしたが、どのカテゴリに何を書けばよいのかわからなかった」

品質管理の現場でフィッシュボーン図(特性要因図)を活用しようとするとき、このような壁にぶつかることは多い。骨格の作り方、4Mと6Mの使い分け、製造業と建設業での適用の違いを理解せずに取り組むと、要因が表面的になってしまい、根本原因への道が開けない。

本記事では、特性要因図の基本定義から4M・5M・6Mのフレームワーク、5ステップの作成手順、製造業・建設業への具体的な適用例、そして陥りがちなミスまでを体系的に解説する。


特性要因図(フィッシュボーン図)とは

特性要因図(フィッシュボーン図)とは、ある結果(特性)に対してその要因を体系的に整理するための図解ツールである。図の形が魚の骨に似ていることから「フィッシュボーン図」とも呼ばれ、考案者の名前から「石川ダイアグラム(Ishikawa Diagram)」とも称される。

1943年、東京大学の石川馨博士が、製造現場での品質問題の原因を多角的に洗い出すために考案した。現在では製造業を超え、医療・建設・サービス・IT業界においても広く活用されている。

特性要因図の目的と効果

特性要因図を作成することで、以下の効果が得られる。

効果 内容
多角的な要因の可視化 原因を「人・機械・方法・材料」など複数視点で整理できる
チームの共通認識形成 図として見えるため、全員が同じ理解で議論できる
見落としの防止 カテゴリを網羅することで抜け漏れを減らせる
原因の優先順位づけ 要因の多さや重なりから、対策の優先度を判断できる

フィッシュボーン分析 vs なぜなぜ分析

フィッシュボーン 要因分析となぜなぜ分析は、いずれも根本原因を特定するための手法だが、アプローチが異なる。フィッシュボーン図は「横断的(多方向)」に要因を網羅することに強く、なぜなぜ分析は「縦断的(深掘り)」に一つの原因の連鎖を追うことに強い。

両者を組み合わせると、「フィッシュボーン図で要因を広く洗い出し→絞り込んだ主因になぜなぜ分析を適用して真因を特定する」という強力なハイブリッドアプローチが実現できる。詳しくはなぜなぜ分析 vs フィッシュボーン図の比較も参照されたい。


4M・5M・6Mフレームワークの説明

特性要因図の「大骨(主要カテゴリ)」には、どの視点から要因を整理するかを決める「フレームワーク」を使う。代表的なのが4M・5M・6Mである。

4Mフレームワーク

最もシンプルで、製造業の現場で広く使われている基本フレームワークだ。

カテゴリ 英語 含まれる要因の例
人(Man) Man スキル不足、注意力低下、作業手順の誤解
機械(Machine) Machine 設備の老朽化、精度不良、メンテナンス不足
方法(Method) Method 作業標準の不明確さ、手順書の不備、工程設計の問題
材料(Material) Material 原材料の品質バラツキ、入荷ロットの差異、保管状態

5Mフレームワーク(4M+Measurement)

4Mに「測定(Measurement)」を加えたフレームワーク。測定精度・検査機器の校正・サンプリング方法が問題に関わる場合に有効だ。

追加カテゴリ 含まれる要因の例
測定(Measurement) 測定器の精度、校正頻度、測定者によるバラツキ、測定環境

6Mフレームワーク(5M+Mother Nature)

5Mにさらに「環境(Mother Nature)」を加えた包括的フレームワーク。気温・湿度・騒音・粉じんなど作業環境の要因が重要な場合に適用する。

追加カテゴリ 含まれる要因の例
環境(Mother Nature) 温度・湿度の変動、騒音、照度、作業スペースの狭さ

フレームワーク選択の目安

  • 品質問題の初期分析:4Mで十分なことが多い
  • 検査・測定が関わる問題:5Mを使用する
  • 作業環境が品質に影響する問題:6Mを使用する
  • 建設業・サービス業:「環境」要因が重要なため6Mが適切なことが多い

特性要因図の5ステップ作成手順

特性要因図 書き方の基本となる5ステップを解説する。

ステップ1:「特性(結果)」を右端に明確に定義する

特性とは、解決したい問題・品質の結果のことだ。特性を曖昧に設定すると、要因の洗い出しも曖昧になる。

良い特性の書き方例:

  • 「第2ラインの外観不良率が3%を超えている」(具体的・数値化済み)
  • 「型枠工事中の転落事故が発生した」(発生事実を明確に)

避けるべき特性の書き方:

  • 「品質が悪い」(漠然としすぎる)
  • 「安全が心配」(測定できない)

ステップ2:主骨(背骨)と大骨を描く

魚の背骨に相当する水平線を引き、右端に特性を記載する。そこから斜めに伸びる「大骨」を4〜6本描き、各カテゴリ名(Man・Machine・Method・Materialなど)を記載する。

ステップ3:中骨・小骨を追加する(ブレインストーミング)

チームでブレインストーミングを行い、各大骨のカテゴリに関連する要因を「中骨」として追加する。さらに、中骨の要因が起きる理由を「小骨」として追加する。

ブレインストーミングのルール:

  • 否定しない(量を優先する)
  • 因果関係を考えながら書く(「〜だから〜が起きる」という関係で記載する)
  • 5〜10分程度で一旦止め、全体を見渡す

ステップ4:要因を絞り込む(主因の特定)

すべての要因が出揃ったら、「最も影響が大きいと思われる要因」に印(〇や✓など)をつける。複数名が独立して印をつけ、印が多く集まった要因を「主因候補」とする。

ステップ5:主因の検証と対策立案

主因候補については、データや観察でその影響を検証する。検証が確認できた要因を「真因」として確定し、対策を立案する。なぜなぜ分析を主因に適用して、さらに深掘りすることも有効だ。


製造業への適用例:不良品発生の要因分析

特性(結果):「成形品の表面に気泡が発生する不良率が8%を超えている」

6Mを用いた要因整理の例:

人(Man)

  • 成形条件の設定が作業者によってバラツキがある
  • 金型清掃の頻度がルール化されていない
  • 新人オペレーターへの引き継ぎが口頭のみ

機械(Machine)

  • 射出成形機のノズル温度センサーが劣化している
  • スクリューの摩耗が進んでいる
  • 乾燥機の温度制御が安定していない

方法(Method)

  • 乾燥時間の標準値が機種ごとに設定されていない
  • 初品検査のサンプル数が不足している
  • トラブル発生時のエスカレーションルールが不明確

材料(Material)

  • 原料ペレットの含水率が入荷ロットによってバラつく
  • 複数サプライヤーからの混在ロットが使用されている
  • 保管棚の湿度管理が不十分

測定(Measurement)

  • 気泡の大きさの判定基準が主観的
  • 検査ライン上の照度が基準値を下回っている
  • 検査員の判定結果に個人差がある

環境(Mother Nature)

  • 梅雨時期の湿度上昇が乾燥不足を引き起こす
  • 工場内の温度が午前・午後で差がある

この分析から、「原料ペレットの含水率管理」と「乾燥機の温度制御不安定」が主因候補として浮かび上がった。次のステップでデータ計測によって検証し、対策を立案する。


建設業への適用例:事故発生の要因分析

特性(結果):「足場解体作業中に作業員が2m転落し休業災害が発生した」

4Mを用いた要因整理の例:

人(Man)

  • 安全帯の着用が徹底されていなかった
  • 当日の作業前教育(KY活動)が省略された
  • 新規入場者の作業経験が不十分だった
  • 作業リーダーが別工区に不在だった

機械(Machine)

  • 安全帯フックの掛け替え先となる親綱が設置されていなかった
  • 足場板の固定ボルトが緩んでいた
  • 保護帽が作業種別に対応していないものが使用されていた

方法(Method)

  • 解体手順書に転落危険箇所の明示がなかった
  • 作業手順の確認なしに解体開始した
  • 安全帯の着用確認を監督者が実施していなかった

材料(Material)

  • 足場部材に変形・損傷品が含まれていた
  • 養生シートの固定方法が簡略化されていた

この分析から、「親綱の未設置」「作業前KY活動の省略」「安全帯着用確認の欠如」が主因候補として浮かび上がった。建設現場での安全管理についてはAnzenAIによる体系的なデジタル安全管理も有効な手段である。


WhyTraceで特性要因図の分析を次のレベルへ

特性要因図で主因候補を特定したら、次は「なぜなぜ分析」で深掘りする段階に入る。ここで**WhyTrace**が力を発揮する。

WhyTraceは、5Why分析をAIがサポートするクラウドツールだ。フィッシュボーン図で特定した主因候補を入力すると、論理的に「なぜ」を掘り下げ、真因への道筋を可視化できる。

  • チームでリアルタイムに分析結果を共有できる
  • 過去の類似事例を参照しながら分析の精度を高められる
  • 対策の有効性を記録し、再発防止の追跡ができる

フィッシュボーン図で要因を広く整理したら、WhyTraceで真因まで深掘りする流れを試してほしい。


特性要因図の作成でよくある間違い

特性要因図 書き方の現場でよく見られる失敗パターンと、その対処法を整理する。

間違い1:要因と対策を混在させる

「安全帯を着用する」「手順書を改訂する」などの対策を要因欄に書いてしまうケースがある。特性要因図は要因(原因)を整理するツールであり、対策立案は次のステップだ。要因欄には「〜が不足している」「〜が明確でない」という現状の問題として記載する。

間違い2:大骨のカテゴリにとらわれすぎる

4M・6Mのカテゴリは思考の補助ツールであり、すべてのカテゴリを埋めることが目的ではない。実際の問題によっては、ある大骨に要因が集中し、別の大骨には何も入らないことがある。それは問題の特性を反映した正常な状態だ。

間違い3:要因の粒度が揃っていない

「人のスキル不足」(大きな要因)と「Aさんが昨日休んでいた」(個別の出来事)が同じレベルで並んでいると、分析の深さがバラバラになる。できる限り要因の粒度を揃え、個別事象は小骨以下の階層に置くようにする。

間違い4:完成した図で満足してしまう

特性要因図はあくまで「原因の洗い出し・整理」のツールだ。図を作っただけで問題が解決するわけではない。「主因の絞り込み→データによる検証→対策実施→効果確認」まで進めることが不可欠だ。


よくある質問(FAQ)

Q1. フィッシュボーン図はどのような場面で最も効果を発揮するか?

原因が複数のカテゴリにまたがっていると疑われる複雑な問題に最も効果的だ。単一の原因系統が明確な場合はなぜなぜ分析の方が効率的なことが多い。新しい問題への初回アプローチや、チームで共通認識を作りたいときにもフィッシュボーン図が有効だ。

Q2. 特性要因図の作成に何名が適切か?

3〜8名程度が議論しやすい規模だ。少なすぎると多角的な視点が得られず、多すぎると発言が均等にならない。異なる工程・部門からメンバーを選ぶと、要因の抜け漏れが減る。

Q3. 特性要因図の作成にどのくらいの時間がかかるか?

要因の洗い出し(ブレインストーミング)に30〜60分、整理・絞り込みに30分程度が一般的な目安だ。事前に参加者が問題の背景を理解していると作成効率が上がる。WhyTraceなどのデジタルツールを使うと記録・共有の工数を大幅に削減できる。

Q4. フィッシュボーン図はデジタルツールで作成すべきか、手書きで作成すべきか?

議論の場ではホワイトボードや模造紙への手書きが参加者の発言を引き出しやすい。議論の結果をデジタルツールで清書・保存・共有することで、後続の分析や類似問題への再活用が容易になる。両方を組み合わせる運用が現実的だ。


まとめ

特性要因図(フィッシュボーン図)の書き方を以下のポイントで整理した。

  • 定義:結果(特性)に対する多角的な要因を魚の骨状に整理するツール(石川ダイアグラム)
  • フレームワーク:4M(人・機械・方法・材料)→5M(+測定)→6M(+環境)を問題の性質に応じて選択する
  • 5ステップ:特性の定義→骨の描画→ブレインストーミング→主因の絞り込み→検証と対策
  • 製造業適用例:気泡不良を6Mで分析し、含水率管理と乾燥機の制御が主因候補として特定
  • 建設業適用例:転落事故を4Mで分析し、親綱未設置とKY活動省略が主因候補として特定
  • よくある間違い:要因と対策の混在、カテゴリへの過度な執着、粒度の不統一、作成で満足すること

フィッシュボーン図で要因を整理した後は、WhyTraceを活用したなぜなぜ分析で真因まで深掘りし、実効性の高い再発防止策を実現してほしい。


関連サービス・ツール

ツール名 特徴 主な用途
WhyTrace AI支援なぜなぜ分析ツール フィッシュボーン分析後の真因深掘り・再発防止
AnzenAI 建設・製造現場の安全管理AI 事故要因の記録・ヒヤリハット管理
IdealLoop 現場改善提案の収集・管理 カイゼン活動の体系化・見える化

WhyTrace - 5Why分析で根本原因を特定

なぜなぜ分析をAIがガイド。品質問題の再発防止に。

無料で試してみる
國分 良太

著者

國分 良太

制御設計エンジニア → AI・IoT・DX推進|東京の製造業メーカー開発部門

製造業の現場で設備設計・改善プロジェクト・品質向上施策に従事。なぜなぜ分析(RCA)やリスクアセスメントの実務経験をもとに、現場DXを支援するアプリケーションの開発と情報発信に取り組んでいます。

※ 本サイトは所属企業とは関係のない個人活動です。記載の見解は筆者個人のものです。