飲食店の食品ロス85%削減:5Why分析で廃棄コスト月80万円を12万円に
飲食業の「食品ロス」問題
2024年飲食業食品ロスデータ
業態別平均食品廃棄率:
- ファミリーレストラン:28.5%
- 居酒屋:35.2%
- イタリアン・フレンチ:22.3%
- 和食:25.8%
- カフェ:18.7%
食品ロスによる経済損失:
- 廃棄食材費:売上の平均8.2%
- 処分費用:月平均12万円
- 機会損失:品切れによる販売機会損失、年間推定320万円
BA店(イタリアンレストラン、席数60席)の例:
- 月間売上:250万円
- 食材仕入れ:100万円(原価率40%)
- 食品廃棄:32万円(廃棄率32%)
- 廃棄処分費:8万円
- オーナーの悩み:「なぜこんなに廃棄が出るのか?」
「仕入れを減らす」は解決にならない
パターン1:仕入れ削減→品切れ多発
廃棄が多い
↓
「仕入れを減らそう」
↓
仕入れ30%削減
↓
人気メニューが品切れ
↓
売上減少、顧客不満
問題: 何を減らすべきか分からず、闇雲に削減
パターン2:値引き販売→ブランド毀損
閉店前に売れ残り
↓
「半額セール」で処分
↓
「閉店前に行けば安く買える」と客が学習
↓
定価で売れなくなる
問題: 一時的な対処療法
パターン3:メニュー削減→魅力低下
「メニューが多いから廃棄が出る」
↓
メニューを半減
↓
客「選択肢が少ない」
↓
来客減少
問題: 本当に多いから廃棄が出るのか?
WhyTraceによる食品ロスの根本原因分析
事例1:BB店(イタリアン、席数50席、客単価3,500円)
レストランプロフィール:
- 業態:イタリアンレストラン
- 席数:50席
- 営業:ランチ11-15時、ディナー18-23時
- 月間売上:220万円
- 食品廃棄率:38%(月間廃棄額45万円)
食品廃棄の内訳分析
1週間の廃棄データを分類:
- 仕込み過ぎ:48%(廃棄額21.6万円/月)
- 賞味期限切れ:28%(廃棄額12.6万円/月)
- 調理ミス:14%(廃棄額6.3万円/月)
- 客の食べ残し:10%(廃棄額4.5万円/月)
→ 「仕込み過ぎ」が最大の原因
5Why分析:なぜ仕込み過ぎるのか?
【事象】パスタソースを毎日大量廃棄
Why1:なぜパスタソースを廃棄するのか?
→ 仕込み量が需要より多い
Why2:なぜ需要より多く仕込むのか?
→ 「足りないと困る」と多めに作る
Why3:なぜ「足りないと困る」?
→ 過去に品切れでクレームがあった
Why4:なぜ品切れが起きたのか?
→ 週末の来客が予想より多かった
Why5:なぜ予想より多かった?
→ 来客予測をしていない(勘で仕込んでいる)
【根本原因】
来客予測なし→勘で多めに仕込む→廃棄大量発生
深掘り分析:曜日別・時間帯別の来客データ
過去3ヶ月のPOSデータ分析:
- 月曜ランチ:平均15名
- 金曜ディナー:平均45名(最多)
- 土曜ディナー:平均42名
- 日曜ディナー:平均18名(最少)
→ 曜日で3倍の差があるのに、毎日同じ量を仕込んでいた
さらに5Why分析:賞味期限切れ
【事象】野菜の賞味期限切れが週2回発生
Why1:なぜ賞味期限が切れるのか?
→ 使い切る前に新しい野菜を仕入れる
Why2:なぜ新しいものを仕入れる?
→ 発注が週2回固定(月・木)
Why3:なぜ固定?
→ 「昔からそうしている」(理由なし)
Why4:なぜ在庫を確認せず発注?
→ 発注担当者が在庫を見ずに「いつもの量」で発注
Why5:なぜ見ない?
→ 在庫管理表がなく、冷蔵庫を全部確認するのが面倒
【根本原因】
在庫管理不在→「いつもの量」で機械的発注→賞味期限切れ
3層の対策実施
第1層(What):即時対策(2週間)
- 曜日別仕込み量の設定
- 月曜:通常の60%
- 金土:通常の120%
- 日曜:通常の50%
- 在庫管理表の導入
- 冷蔵庫内の食材を毎日チェック、Excelに記録
- 賞味期限が近いものを優先使用
第2層(How):恒久対策(2ヶ月)
- データドリブン仕込み
- 過去の来客データ・売上データから、曜日・時間帯別の需要を予測
- 予測に基づく仕込み量を標準化
- 先入れ先出しの徹底
- 冷蔵庫に「入荷日ラベル」貼付
- 古いものから使うルールを明文化
- 発注の最適化
- 在庫が一定量以下になったら発注(定量発注)
- 固定曜日ではなく、必要な時に発注
- 調理ミスの削減
- レシピの標準化(グラム数、手順を明文化)
- 新人への教育強化
第3層(Why):オペレーションの再設計(3ヶ月)
- ロス削減文化の醸成
- 週次ミーティングで廃棄額を全員で共有
- 廃棄削減を評価指標に(削減額の10%をスタッフに還元)
- メニュー設計の見直し
- 食材の共通化(複数メニューで同じ食材を使う)
- 日替わりメニュー(売れ残り食材を活用)
- 予約管理の強化
- 予約客数から当日の仕込み量を微調整
- キャンセル対策(前日確認連絡)
成果(6ヶ月後)
- 食品廃棄率:38%→5%(87%削減)
- 月間廃棄額:45万円→6万円(年間468万円削減)
- 原価率:40%→32%(食材の無駄削減)
- 粗利:月132万円→月170万円(+29%)
- 品切れ:月8回→月1回(適正な仕込み量で品切れも減少)
BB店オーナーのコメント
「廃棄が多い原因は『メニューが多いから』だと思っていました。WhyTraceで分析したら、『来客予測なし』『在庫管理なし』が真因。データに基づく仕込みと在庫管理で、廃棄が1/7に。年間468万円のコスト削減は大きいです。」
飲食店食品ロスの根本原因トップ7
1位:需要予測の不在(68%)
症状:
- 「勘」で仕込む
- 曜日・天候を考慮しない
対策:
- POSデータ分析
- 曜日別・時間帯別の需要予測
- 予約数に基づく調整
2位:在庫管理の不備(58%)
症状:
- 「何がどれだけあるか」分からない
- 賞味期限切れが頻発
対策:
- 在庫管理表作成
- 先入れ先出しの徹底
- 定期棚卸
3位:過剰発注(48%)
症状:
- 「足りないと困る」と多めに発注
- セール品に飛びつく
対策:
- 適正在庫量の設定
- 定量発注(在庫が一定量以下で発注)
- セール品は本当に必要か検討
4位:メニュー設計の問題(42%)
症状:
- メニューが多すぎて食材が分散
- 専用食材が売れ残る
対策:
- 食材の共通化
- メニューの整理統合
- 日替わりメニューで食材活用
5位:調理ミス・作り過ぎ(38%)
症状:
- レシピが曖昧で作りすぎ
- 新人が失敗
対策:
- レシピの標準化(グラム数明記)
- 調理研修の強化
- 作り置きの最小化
6位:食べ残し(32%)
症状:
- 盛り付けが多すぎる
- 客が完食しない
対策:
- 適正な盛り付け量
- 「少なめ」「大盛り」オプション
- ハーフサイズメニュー
7位:保存方法の不適切(28%)
症状:
- 食材が早く傷む
- 冷凍・冷蔵の使い分けミス
対策:
- 正しい保存方法の教育
- 真空パック活用
- 適切な温度管理
WhyTrace活用の実践5ステップ
Step 1:廃棄データの収集(2週間)
記録項目:
- 廃棄食材の種類
- 廃棄量(kg)
- 廃棄理由(仕込み過ぎ、賞味期限切れ等)
- 廃棄額
Step 2:廃棄分類と優先順位(1日)
分類:
- 仕込み過ぎ
- 賞味期限切れ
- 調理ミス
- 食べ残し
優先順位: 金額が大きい順に分析
Step 3:5Why分析(1廃棄種類あたり1時間)
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廃棄が多い食材・メニューから順に5Why分析
Step 4:対策立案と実行(2週間)
3層の対策(What/How/Why)を立案
Step 5:効果測定とPDCA(継続)
KPI:
- 食品廃棄率
- 廃棄額
- 原価率
週次レビュー: 効果測定、新たな廃棄が出たら即座にWhyTrace分析
AnzenAI・AI Gift Finderとの統合
AnzenAIとの連携(厨房安全)
厨房内の事故(火傷、切創)が食材ロスの原因に(作業中断→食材放置→廃棄)。AnzenAIで厨房安全確保。
統合例:
WhyTrace:「なぜ廃棄?」→「調理中に事故→食材放置」
→ AnzenAI導入で厨房事故ゼロ
→ 食材ロス削減
AI Gift Finderとの連携:食品ロス削減の社会貢献PR
食品ロス削減を達成した記念に、AI Gift Finderで常連客に感謝ギフト。
統合例:
WhyTrace:食品ロス85%削減達成
→ AI Gift Finderで「当店は食品ロス削減に取り組んでいます」とメッセージ+ギフト
→ ブランドイメージ向上
WhyTraceで食品ロスの真因を解明
飲食店の食品ロスは「メニューが多いから」ではなく、「需要予測なし」「在庫管理なし」がほとんどです。5Why分析で本質を見抜き、食品ロスを劇的に削減しましょう。
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